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7年目のM-1 オール巨人が明かす“審査員の苦悩”「来年はM-1を休むつもりです」

7年目のM-1 オール巨人が明かす“審査員の苦悩”「来年はM-1を休むつもりです」

オール巨人さんインタビュー#2

2019/12/22
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これまでのM-1王者で一番心に残っているコンビは?

――M-1王者の中で、もっとも心に残っているコンビはどこですか。

巨人 それはやっぱりサンドウィッチマンやな。M-1の大会理念は、おもしろいのに埋もれている芸人に光を当ててやろう、というものなんです。そういう意味では、サンドウィッチマンは、ど真ん中の芸人だった。そもそもあれだけおもしろいのに敗者復活戦に回っていたというのも驚きでしたしね。嘘? なんで? という衝撃があった。まだ、あの頃は、今ほどYouTubeも普及してなかったからな。あの時代くらいまでなんちゃうかな、「発掘」という機能を果たしていたのは。今も昔も変わらずM-1は隠れてる漫才師を発掘するための大会なんです。でも、これだけネット動画が発達したら、隠れてる漫才師なんていないでしょう。もう隠れてなんかいられない。ミルクボーイは隠れてる……って言えるのかもしれませんが、彼らを含めて今年の決勝メンバーの動画だって、見ようと思えばいくらでも見れちゃいますから。サンドウィッチマンが彗星のごとく現れたときのようなインパクトは、もうないんちゃうかな。

第7回(2007年)優勝のサンドウィッチマン。伊達みきお(左)と富澤たけし

あのときは和牛が優勝すべきやった

――最終決戦で、師匠が一度だけ、優勝コンビじゃないコンビに投票したことがあるのですが、それが2017年、とろサーモンが優勝した年でした。巨人師匠は和牛に投票したんですよね。

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巨人 とろサーモンは後の事もあるし、獲るべきではなかったですね(笑)。僕は今でも、あのときは和牛が優勝すべきやったと思ってますよ。だから和牛に投票しました。

 

――若手の話をしているとき、じつに楽しそうですけど、本当にM-1の審査員を辞めるのですか?

巨人 いや、ここやからハッキリ言えるんです。審査員の席に座っちゃうとね。なかなか難しいものがあるんですよ。紳ちゃんに一度、メールしたことあるんよ。おまえ、審査員だけでもやったらどうや、と。でも、まあ、本人がやるいうても、吉本はあかんていうやろうな。

【続き】デビュー45年 オール巨人が語る「アンタッチャブルの復活と漫才師の引き際」

プロフィール

オール巨人/1951年生まれ。大阪府出身。1975年4月に「オール阪神・巨人」結成。コンビで令和元年春の紫綬褒章を受章。伝統のしゃべくり漫才で上方のお笑い界を牽引。M-1の審査員は2007年(第7回大会)以降、今年で7度目となる。阪神タイガースファン、身長184cm

写真=釜谷洋史/文藝春秋

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