M-1が始まった頃、紳ちゃんに「審査員やらせてくれ」って
――昔は、そんなことなかったわけですね。
巨人 家でテレビを観てるときに、このコンビには、こんなこと言うてやりたいというのがふつふつ湧いてくる感じでしたから。M-1が始まったばかりの頃、紳ちゃん(島田紳助)に頼んだことがあるんですよ。俺に審査員やらしてくれ、って。そのときは実現しなかったんですけど。
――審査員デビューとなった第7回大会、敗者復活戦から優勝したサンドウィッチマンが1本目のネタを終えたとき、「もう1本、こんなネタあったら、大変なことになりますよ」という名言が生まれましたが、その背景には、そんな思いがあったんですね。
巨人 あのときのコメントは、自分自身の中でも印象に残ってますね。決勝に残っていないのがおかしいって準決勝審査の批判みたいな事も言ってしまってね(笑)。
松本君、上沼さん、それぞれのポジションがある
――あの言葉で、ある意味、サンドウィッチマンの未来が変わったとも言えます。最終決戦に向け、勢いもついたでしょうし。
巨人 いやいや、それは彼らの実力です。審査員それぞれのポジションがあって、松本(人志)君は適度に笑いを取りに行くし、上沼(恵美子)さんは歯に衣着せない発言をする。それに対し、僕は笑いも取りに行かないし、どストレートな物言いもしない。そのコンビが今後、いい方向にいけるよう真面目に論じたい。それだけに、いろいろ考えてしまうんです。もちろん、番組が終わればいくらでも声をかけることはできますが、全国何百万何千万という視聴者が観ているところでの言葉だからこそ価値があるわけです。そう考えると、やっぱり重いんですよね。審査員という仕事は。
――点を付けるとき、基準のようなものはあるのでしょうか。
巨人 85点を最低ラインに置いて、面白いなというのは90点、なかなかやるなというのは93点、完璧やと思ったら95、6点という感じでしょうか。決勝にくるようなコンビは、85点以下になることはまずないと思います。でも65点くらい付けたいコンビもあったな~。僕は基本的に100点はつけません。その後の組で、それ以上の漫才を見せられたとき困りますから。101点は付けられないので。2016年、銀シャリが優勝したときにつけた96点が過去最高点なのですが、あれは正直、付け過ぎたかも分かりません(笑)。