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2020/01/18

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, テクノロジー, メディア, 社会, 政治

 ただし、あくまで本来は「NHKの受信契約者」向けの付帯サービスで、別途発行するIDによって受信契約者であることの確認が行えない場合、画面には受信契約を促す表示が行われる。これは、テレビにおいてNHKの受信契約が行われていない場合と同じ扱い、と考えていい。

 とはいえ、これもまたテレビと同じく、警告が出ているだけで「まったく見れない」わけではないし、大規模災害発生時などには、そうした情報が消えて全員が視聴可能になる。放送終了時刻から起算して7日間配信する。ネットで視聴可能とはいうものの、あくまで対象はPCとスマートフォン、タブレットなどであり、ネット接続がなされたテレビへの配信は当面行われない。

NHK報道用資料より

 NHKはそもそも放送事業者であり、国民から徴収した「受信料収入」によって運営されている。今回のNHKプラスは放送ではなく「ネット配信」ではあるが、建て付けとしては「放送事業の付帯サービス」であるため、無料で行われ、その経費は受信料収入から賄われる。

 受信料は「テレビを持っている世帯単位」で計算されるため、すでにテレビをもっていて、受信料を支払っていれば当然追加料金は発生しないし、受信契約者と生計を同じくする人(一般的には家族)であるならば、追加負担は発生しない。家に何台テレビがあってもNHK受信料に追加料金は発生しないのと同じ考え方である。繰り返すが「放送付帯」のサービスなので、スマホを持っているからといって課金されるわけではない。

 NHKは2008年より、「NHKオンデマンド」というネット配信を提供している。こちらは今回のNHKプラスとは別のサービスであり、NHKプラス開始後もそのまま存続する。NHKオンデマンドはあくまで「過去のNHKのコンテンツを有料で配信する仕組み」であり、NHKの放送事業とは別のものと扱われているためだ。NHKオンデマンドは今後も、受信料収入を使わない独立した事業として存続し、別途、「放送をスマホやPCでも見られる付帯サービス」としてNHKプラスが始まる、という建て付けになる。

NHK報道用資料より

 なお、これとは別に、2020年東京オリンピック関連のネット配信が行われることになっているが、こちらについては、まだ詳細は公表されていない。

「放送と通信の融合」で日本は出遅れ

 テレビがネットでも見られる、ということは、世界的に見ればまったく珍しくないことだ。NHKと同じような位置づけにあるイギリスの公共放送・BBCは、2007年から、無料視聴可能なサービス「BBC iPlayer」を提供済みで、アメリカでも、各放送事業者の放送をネット再配信するサービスが多数ある。有料ではあるが、Googleの「YouTube TV」のように、ケーブルテレビと同じような多チャンネルサービスをそのまま提供しつつ、番組表をクリックすると、すでに放送が終わっている番組が再生される「番組録画」的なオンデマンドサービスもあるくらいだ。

 テレビ番組をテレビの前に行かないと見られない国は減りつつあり、日本は「放送とネットの融合」による利便性の提供という意味では、世界に対し、ずいぶん遅れているのだ。

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