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 そして、築何年か、駅から徒歩何分か、といった基本的なスペックから、過去に自殺や殺人、孤独死があったのかという情報まで、その物件について何ら隠し立てすることない資料が公表されます。

車の中から発見された死体は……

 さて、その練馬区の物件は、事故物件ではない……はずでした。しかし、落札後に不動産業者が物件を訪れると、車庫に停められていた車の中から死体が出てきました。借金を返せなくなった家主が、その車内で自殺していたのです。

 時間軸から考えると、借金に追われていた家主が、まず車内で自殺。その結果、当然ながら返済が滞り、本人との連絡も取れなくなったことから、債権回収のため物件が差し押さえられました。やがて執行官がやって来て、物件の状態を調査することになったわけです。その執行官は、“無人の家”を調べていたつもりだったのでしょう。しかし、実はそのときも、車庫の中には家主の死体があったのです。

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©iStock.com ※写真はイメージです

 その後、物件を落札した不動産業者は、死体を見つけられなかったのは調査義務違反ではないかと、国を相手に裁判を起こしました。事故物件であるとわかっていたら、もっと安く落札できたはずだ、という主張です。しかし、執行官にそこまでの調査の義務はないとして、不動産業者は敗訴しています。

執行官は隠すことも暴くこともしない

 競売物件を調査する執行官は、そこが事故物件であることがわかれば、その事実を隠しはしませんが、反対に積極的に暴こうとする意欲もありません。彼らは調査のプロではないので、聞き取りは行いますが、裏を取る(複数の資料や証拠から事実かどうかを確認する)ことはせず、聞いたことをそのまま資料に載せてしまうことが多いのです。