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その後も麻生グループは株を買い進め……

 麻生グループは、麻生太郎・財務相の出身母体として知られる。明治時代に福岡県で創業した「麻生炭鉱」を源流として、その後セメント事業、病院コンサルタント、人材派遣、建築土木業、スポーツ施設運営等に業容を広げ、グループ総売り上げ3800億円、グループ会社数102社(19年3月末)を擁する福岡を代表する企業グループになった。

 創業者の麻生太吉は麻生財務相の曽祖父であり、麻生財務相も政界へ進出するまで前身の麻生セメントの社長を務めていた。現在の麻生泰会長は麻生財務相の実弟であり、麻生巌社長は麻生財務相の甥に当たる。

 年が明けた今年2月、村上ファンドが大量に保有したままだった持ち株を麻生グループに売却していたことが判明した。

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麻生太郎氏 ©AFLO

 これにより、村上ファンドは大きな利益を得たと見られる。

「大雑把に計算すれば、村上ファンドが昨年3月時点で保有していた約13%の株の取得価格は、平均1株640円。その大半を1株950円で麻生グループに売却したのです。村上ファンドは7~8億円の利益を得たでしょう」(経済誌記者)

 村上ファンドに比べて割高で株を取得した麻生グループだが、その後も株を買い進めて保有割合を19%まで高め、投資額は43億円に上っている(2月21日時点)。

ラオックス買収の中国系ファンドも参戦

「廣済堂全体の業績は低迷し、過去5年で2回しか配当を出しておらず、株を19%持ったままで利益が出ません。完全買収を目指し、その後は他の事業を売却し、東京博善だけ残すのが妥当でしょう」(同)

 ただし新たな買収合戦には、家電量販店ラオックスの買収で名を上げた中国出身・羅怡文氏に連なるグループも参戦し、20億円以上を投じて株を取得している。麻生グループが完全買収を目指せば紆余曲折があることも予想され、中国系資本との関係も気になるところだ。