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天皇陛下と雅子さま 国民との「蜜月状態」はなぜ変化したのか

令和への「代替わり」から1年

2020/05/01

genre : ニュース, 社会

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動物愛護の問題を人々に気づかせる新しさ

 しかし、いくつかの点で相違とまではいかないが、「令和」に特徴的な部分もある。たとえば、愛知県を全国植樹祭で訪問した際のレセプションパーティーでの出来事である。それまでの平成の天皇皇后は、基本的には金屏風の前に立ち、人々からのあいさつを順に受けることが多かった。ところが、令和の天皇皇后は人々のなかに分け入り、積極的にあいさつをしていったのである。これまで以上に、人々と積極的に触れ合っていこうとする意思からだろうか。

秋田県動物愛護センターを視察された天皇皇后両陛下 ©時事通信社

 また、秋田県を訪問した際には、秋田県動物愛護センターを訪問している。ペットが社会により浸透し、しかしそれゆえに愛護の問題も社会の大きな課題となっているなかでの天皇皇后の訪問は、こうした問題を人々により気づかせることにもつながる。これまでの天皇皇后にはない、新しい訪問場所の設定は、「令和流」とも言えるのではないか。ここでは、天皇が御所で飼っている愛犬の写真を子どもたちに見せるなど(つまり、それのために事前に用意していたということになる)、子どもたちとの触れ合いのために工夫をしている天皇像をも見せた。

トランプ、マクロン大統領夫妻とも通訳なしで会話

 国際的な面においても、5月のトランプ米大統領夫妻、6月のマクロン仏大統領夫妻の来日にともなう対応では、天皇皇后ともに自身のこれまでの経験を活かして、通訳なしで会話をしたことなどが報じられるなど、やはり新しい基軸を見せている。

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天皇皇后両陛下とマクロン大統領夫妻 宮内庁提供

 以上のように、「平成流」を継続させつつ、「令和流」をも模索している1年だった、と言えるのが2~3月くらいまでの状況だったのかもしれない。