昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「玄関マット枕」の作り方

 実例を紹介しよう。

 60代女性の話。

「学生時代から首、肩、腰の痛みがあり、年齢を重ねるにつれて悪化していきました。最近では痛みで熟睡できなくなり、夜間に痛みのために3回は目を覚ますようになったのです。起きている時も首の痛みで頭を支えるのがつらいほどでした。ただ、脳神経外科や整骨院をいくつも受診しましたが、改善しなかった。その状況で枕外来に行って、枕を変えたところ、まったく痛みを感じることなく9時間も熟睡できました」

 40代女性もこう語る。

「若い頃からの肩こりで、社会人になってからはマッサージや鍼灸に通い、オーダー枕なども試したがうまく行きませんでした。出産後はおんぶや抱っこの影響で腰まで痛むようになり、コルセットでしのぐ程でした。年に1、2回は寝違えることがあり、首にも激痛が走っていました。

 そんな状況で山田医師の外来を受診し、自分に合った枕を調整してもらったところ、約四半世紀続いたトラブルが消えた。1年経った今も問題がありません」

 そのため山田医師の枕外来では、理想的な睡眠に役立つ枕を、自分で作る指導を行っているのだ。その枕とは、「玄関マット枕」。玄関マットとタオルケットを使って、医学的に見て最も理想的な睡眠姿勢がとれる枕が作れるという。

©文藝春秋

 作り方は、まず、柔らかいものではなく、毛足が短くて硬い素材の玄関マットを用意する。これを三つ折りにして土台にし、その上にたたんだタオルケットを載せるだけ。最初は高さを7センチ程度にして、頭の下に置いて寝てみる。

 仰向けの状態から左右に寝返りを打ってみて、首を大きく曲げることなく転がることができればOK。高さが合わない時は、タオルケットをめくったり、逆に重ねたりして調節する。

 仰向けの時はほんの僅かに首が前に出る形になるが、呼吸に無理がなければ問題ない。それまで使っていた枕と比較して、苦しさがないことを確認する。

 また、横向きに寝た時に、鼻から胸の中心までがほぼ直線で結ばれているかを鏡で見る。その線が敷布団やマットレスと平行であれば、調節は完了だ。

 実際に試すと、普段の枕よりかなり硬く、頭の当たる面積も広く感じられるだろう。タイヤの空気がパンパンに入った自転車に乗った時のような“張りのよさ”も実感できるはずだ。

 この枕を使う時は単に頭を載せて寝るのではなく、首の付け根と肩が枕の角に付くようにする。これにより首の負担が大幅に減少し、筋肉の緊張を和らげることができるのだ。

「夏には、暑さで深夜に起きてしまう人は少なくない。しかし、暑さを感じるのは途中で覚醒しているからで、熟睡していれば気温はそれほど気にならないもの。体に合った枕を使って熟睡できれば、夜中の覚醒回数も減るので、結果として暑さを感じることなく眠り続けられるのです」