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「理想の枕」の3条件

 この「玄関マット枕」は山田医師が考える「理想の枕」の3つの条件に基づいて作られた。

 1つは仰向けでも横向きでも首が大きく曲がらない(直線に近い)状態を維持できる「高さ」があること。

 2つ目は、夜間寝ている間に高さが五ミリ以上変動しない「硬さ」があること。

 3つ目は、体格の変化に応じて適宜見直し、調整ができること。

 なぜこの3つの条件が必要なのか。

 まず、高さが合っていないと寝る姿勢によって首にかかる負荷が異なり、全身にストレスがかかるという。

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「重要なのは、横向きで寝た時の枕の高さです。横向きの時、肩の高さが確保されていないと、首を曲げなければならない。寝返りを打つたびに首が曲がるのは、体の構造的に見て不自然なこと。横向きの時に、体の中心の延長に首がまっすぐ伸び、仰向けの時には、寝ているベッドに対して首の角度が約15度の状態が本来の睡眠姿勢。素材を選び、高さを調節することで、この姿勢は得られます」

 理想的な睡眠姿勢を、山田医師は「焼き鳥の串」と表現する。串に刺した鶏肉を焼く時、串をころころと回転させても、串そのものは曲がらない。これと同じように、寝ている時の人の首にとっても、寝返りによって角度を変えることなく、自由に転がることができる枕が理想的なのだ。

 次に「硬さ」だ。「高さ」をキープするためにはある程度の「硬さ」が必要になるが、山田医師によると、市販されている枕は柔らかすぎるものがほとんどだという。中身が簡単に片寄るものは論外で、一見硬そうに見える「低反発素材」の枕も避けるべきと指摘する。

「低反発の枕は頭が沈み込むので、同じ姿勢でいる時は安定していても、寝返りを打とうとすると頭や首に力を入れなければならない。これが肩や首のこりにつながるのです」

 だが、こうした「高さ」や「硬さ」があっても、「調整」が必要になるという。

「高齢者はどうしても背中が丸くなりがちで、体も硬くなる。当然体型の変化に合わせて枕の高さも変える必要が出てきます。加齢に伴う体の変化には、枕を高くすることで寝返りをしやすくなります」