昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

観光客が消えた京都で、抹茶スイーツに行列が…コロナ禍で聞かれた地元住民の“反省”

『観光は滅びない 99.9%減からの復活が京都からはじまる』より #2

2020/11/03

地元住民による地元の宿泊施設利用を促進

 そしてコロナ禍以後、長距離移動を伴う旅行が自粛・忌避されるムードのなか、たとえば星野リゾートは「3密を避けながら地元の方が近場で過ごす旅のスタイル」として「マイクロツーリズム」を提唱した。

 また京都市主催の「地元応援! 京都で食べよう、泊まろうキャンペーン」のように多くの自治体が地元住民による地元の宿泊施設利用を促進するキャンペーンを打ち出した。本書の第3章で紹介したゲストハウスのように、地元・近隣住民をターゲットにしたテレワーク・プランなどを打ち出す事業者も多い。

 これらはインバウンドや国内長距離旅行客の取り込みが難しい期間の急場しのぎの策に見えるかもしれない。しかし、先述のように観光コンテンツの造成や維持などの視点からも、より「強い観光業」に育てていくには地元の協力が不可欠なのだ。また地域の課題を観光で解決するという関わり方も模索されており、地域社会の資源を発掘して消費するだけの営みではなく、観光が地域社会にとって「なくてはならないもの」になるためには欠かせない視点である。

※写真はイメージ ©️iStock.com

 コロナ禍における観光の停止を機に地元住民との新たな関係性のあり方を築き、今こそ地元住民の支持を得た「強い観光業」として生まれ変わる好機と考えている関係者は多い。これらの取り組みはその糸口となるかもしれない。

 このようにコロナ禍がもたらした未曾有の観光危機によって、これまでとは異なる様々なアプローチで地域と観光の双方からの歩み寄りの兆しが見られるようになった。もし、コロナ禍の衝撃で地域社会と観光の関わりそのものが変わるならば、そのうえで再び立ち上がるウィズ・コロナ、そしてアフター・コロナの日本の観光はどのような形のものになるのだろうか。

この記事の写真(5枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー