「私個人としては、まずアメリカはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に再度参加し、地域において共通の価値観を共有するアメリカの仲間(アライアンス)を再構築し、中国に対峙していくべきと考えている。
そういった動きの中で、中国のファーウェイや知的財産権、中国が90%以上もの生産シェアを持つレアアース、医療などの問題でも、アメリカの仲間とともに共同戦線(Common Front)を築いていくべきと思っている。アメリカアローンであってはならない」
「統一戦線」で中国に対峙
アメリカが考える「あるべき姿」を反映するにはTPP的な枠組みにおけるルール、特にこれからの成長エンジンとなるアジアでのルール作りにアメリカがリーダーシップを取ることが決定的に重要であるとカンター氏は考えている。
その点で、RCEPという日中韓はもとより、アジア成長の中心となるASEAN10カ国を含めた15カ国のディールができてしまったことに彼はかなりの危機感を抱いていた。
ましてや、彼がバイデン政権に対して即座の復帰を期待するTPPに中国が参加する可能性があるとなれば、カンター氏の懸念はいかばかりか、である。
インタビュー中、カンター氏が繰り返して指摘したのは、
「同盟国・友好国との統一戦線(United Front)で中国に働きかけていくべきで、とくに日本は大切と私は考えている」
という点だ。
日本との同盟関係を梃子として、アメリカがリーダーシップを発揮すべきとの彼の意見は、彼の日本びいきは別としても、米中のルール作りの争いにおけるキャスティングボートの立場が日本にあることを示唆しているのかもしれない。
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カンター氏のインタビューの詳細は、「文藝春秋」1月号及び「文藝春秋 電子版」掲載の記事「中国には『日米統一戦線』で」(聞き手・米山伸郎)をお読みください。
元アメリカ通商代表 中国には「日米統一戦線」で