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球状の眼球は、表面にある角膜の奥に水晶体というレンズがあり、その奥は硝子体と呼ばれるゼリー状の物質で満たされている。大雑把に言ってしまえば、目は大半が硝子体が詰まった臓器、ということになる。
角膜から水晶体を経て硝子体に入ってきた光は、眼球の一番奥の網膜に映し出され、そこから視神経を通じて脳に至り、そこで初めて「映像」ができあがる仕組みだ。
網膜は脈絡膜という組織に張り付いているが、これが何らかの事情で剥がれてしまうことがある。これが網膜剥離だ。
網膜剥離の原因は2つ
原因は色々ある。ボクサーがパンチの衝撃で網膜剥離を起こす話は時折耳にするが、これは外傷性の網膜剥離。野球やサッカーなどの球技でボールが目に当たっても起きるし、当然殴り合いのケンカでも起きる。
一方、スポーツもケンカもしていないのに網膜剥離になることがある。そのうちの大きな原因のひとつが後部硝子体剥離だ。
東京都江戸川区にある二本松眼科病院副院長の平松類医師に解説してもらう。
「生まれたばかりの赤ちゃんの眼球は硝子体がパンパンに充満しているけれど、年齢を重ねるにしたがって硝子体も劣化していきます。硝子体を構成するゼリー状の成分はコラーゲンと水分。劣化するとその一部が液状化していくのです。その結果、硝子体は小さくなっていき、網膜から剥がれたり、硝子体の中に空洞ができたりしていく。この状態が後部硝子体剥離です」