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チョ氏の裁判後、厳罰化が進んだ

 当時、事件を担当した裁判官は朝鮮日報のインタビューで、「捜査段階で心身微弱が認められた。裁判部としては方法がない」と述べた。現在は、性的暴行の場合には心身微弱の適用を除外できるが、当時の法律では捜査過程で心身微弱が認められれば、裁判では無条件で減刑しなければならなかったそうだ。

 チョ氏への軽い処罰は国民的な怒りをもたらし、チョ氏の刑が確定した後も、国民世論が沸き起こった。軽い処罰を下した判事に憤りをぶちまけ、控訴しなかった検察の態度にも批判が殺到した。このため検察内部で懲戒委員会が開かれ、性犯罪など凶悪犯罪に対する量刑強化の主張が力を得た。結局、2010年に児童性犯罪に対する処罰が強化され、有期刑の刑量を50年に上方修正する関連法の改正が導き出された。

 チョ氏の出所を控えた今年の7月、当時の怒りが再び韓国社会を覆った。

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 チョ氏が出所後、安山で過ごすということがニュースを通じて伝えられたためだ。このニュースを聞いた被害者の家族は「チョ・ドゥスンの出所の知らせ以降、(被害者の)娘が不安で眠れず、悪夢にさいなまれている」「どこで出くわすかわからない」と、メディアを通じて不安を訴えた。その後、被害者の家族は市民からの寄付により暮らしていた場所から引っ越すことができた。インターネット上には「チョ・ドゥスン処断協会」という団体が作られ、あっという間に6000人の会員が加入することになった。

(写真はイメージ)©️iStock.com

夜間外出禁止などが打ち出されているが…

 チョ氏と同じ生活圏で暮らさなければならない住民たちも不安で気が気でなかった。安山市によると、12月12日から16日までにチョ氏の再犯への憂慮や不安を訴える住民の声が1000件を超えたという。

 安山住民たちの不安を解消するため、水原地裁安山支院はチョ氏に特別遵守事項を命令した。電子足輪装着期間の7年間は、「午後9時から翌日午前6時までの外出禁止」「過度な飲酒(血中アルコール濃度0.03%以上)禁止」「教育施設への出入り禁止」「被害者200m内への接近禁止」「性暴力再犯防止と関連したプログラムの誠実な履修」の5つを守らなければならない。

 安山市や警察も「事実上、再犯の可能性はない」と住民を説得しているが、住民の不安は依然残っている。

 安山市の住民をはじめとする韓国の多くの国民は「保護収容法」の導入を促す声を高めている。保護収容法は、性暴力または殺人を犯したり、児童に性的暴行を加えて重傷害を負わせたりするなど、再犯の危険性が高い犯罪者を出所後も一定期間別途施設に隔離することを骨子とする。

 しかし、この法律には「二重処罰」や「人権」という側面から多くの国民が反対しており、チョ・ドゥスン事件は「遡及適用」が必要だという点で、韓国法務部はいったん拒否している。しかし、尹和燮(ユン・ファソプ)安山市長は、法制定を促す活動を続けると話している。

 加害者の人権と被害者の人権とがぶつかる時、法ができる選択は何か、チョ・ドゥスン氏の出所を契機に韓国法曹界の悩みが深まっている。