太陽光には大量のブルーライトが含まれている
――太陽光というと、避けるべきは紫外線というイメージがありますが。
加藤 たしかに、これまでは400nmまでの紫外線が目に有害な光線だと言われていました。サングラスや化粧品などでも、UV400などと記載されているのを見たことがあると思います。ですが、液晶画面のバックライトに使われているLEDと比較すると、太陽光は100倍以上の光量があり、ブルーライトも多く含まれています。
初期のブルーライトカット製品は、デジタル機器から発せられる450nm付近のブルーライトをカットすることを目的としていました。一方、太陽光に含まれる400nm~420nmの波長の光は角膜や水晶体を透過して網膜まで届くため、眼疾患などの悪影響を及ぼす可能性があると言われているんです。
――では、太陽光のブルーライトもカットしたほうが良いと。
加藤 そうですね。近年は、デジタル機器と太陽光のブルーライトをバランスよくカットし、屋内外の有害光線に対応したレンズが増えています。なおかつ、見た目も無色に近いというのが、最新のブルーライトカットレンズです。
――一日中メガネを掛けている人は、こうしたタイプを選ぶのも手ですね。
目が疲れる原因はブルーライトだけに限らない
加藤 昨年からリモートワークの増加により、「パソコンで目が疲れるから、ブルーライトカットメガネを作りたい」という要望が増えています。ですが、目が疲れる原因は、それ以外にある場合も少なくありません。遠くがよく見える方がパソコンやスマホのように近い距離を長時間見ていれば目に負担がかかりますし、現在使用しているメガネが遠方重視の度数である場合も同様です。
現在、「ブルーライトをカットすればパソコン作業がラクになる」といった認識が独り歩きし過ぎているように思います。もちろんブルーライトもひとつの要因ではありますが、見えづらさや疲れを感じたら、眼科や眼鏡店に相談してみることをお勧めします。
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ブルーライトカットメガネが注目され始めてから十数年。より自然な見た目で効果を得られるレンズが登場していることは、ユーザーにとって嬉しい進化だと言えるだろう。また、太陽光のブルーライトによる目への影響も気になる。これまで「何となくブルーライトカットレンズを選んでいた」という人も、自身の使用シーンや目的に合わせて検討してみてはいかがだろう。
写真=今井知佑/文藝春秋
取材協力=ニコンメガネ(南青山)