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1カ月まるまる預けても10万円余りの自己負担で済む

 民間の有料老人ホームは、一般の人には敷居が高い。入居時に払う一時金は必要がない施設から億円単位かかる施設まで幅広いが、通常、数百万円はかかる。加えて、利用料や介護費など月々の入居費用も首都圏だと20万円はかかる。比較的安いイメージのあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、基本は高齢者向けの賃貸住宅で、サービスといっても最低限、見守りがあればよく、食事や介護サービスなどは住まいとは別に契約する必要がある。介護まで含めると、安いところでも月に15万~20万円かかるところが多い。

 それらに比べれば、お泊まりデイは安い。

 丸1日親を預かってもらって、介護保険の自己負担分と食費などを合わせて3000円ほど。デイサービスを使える日数は月24~25日(要介護3~5の場合)という上限があるが、その日数を超えた場合にも、1日3000円程度の負担でデイサービスを提供する事業者があり、1カ月まるまる預けても10万円余りの自己負担で済む。これなら特養に預けるのと負担はそう変わらない。そのため、お泊まりデイにはほとんど家に帰っていない高齢者も多くいるというわけだ。

汚物の処理もしない

 しかし、安さの裏にはそれなりの理由がある。

「茶話本舗」をはじめとした大手フランチャイズチェーンは、設備投資を減らすため、古い民家を借り上げるなどコストカットを徹底している。私たちは何十カ所ものお泊まりデイの現場を取材して回ったが、たいていは駅から離れた不便な場所にあり、狭い路地のわかりにくい場所に建つ古い建物だった。

 都内のある家主は13年秋、「だんらんの家」の加盟店に持ち家を貸した。以前、家族向けに貸した時の家賃は月23万円だったが、だんらんの家には月20万円に値下げしたという。家主が理由を明かす。

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「家の改修費用がかからなかったからです。『風呂に段差があるのでそこにスロープをつけます』と言われただけでした。スプリンクラーなどの消防設備の話はありません。古い風呂釜も、取り替えを求められるかと思いましたが、『十分入れます』と言われたので替えていません」

 茶話本舗のある加盟店の職員は、コストカットの徹底ぶりについてこう証言する。

「コストを抑えるため、民家を借りる時も最低限のリフォームしかしません。一般的な民家のトイレでは狭くて車椅子の人の介助ができないので、利用者にはポータブルトイレで用を足してもらいます。夜は寝ている人の脇でトイレを使うこともある。しかも、汚物の処理をしないので、朝になると汚物の臭気が部屋に充満しています」

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