また、フリースクールには「親の会」という自助グループがあります。そういうところにいくとどこの高校が行きやすいとか、家では父親との関係が悪いんだけどどうしたらいいかというような情報が得られますので、こういう場に参加してみるのもおすすめです。「親の会」は高くても1回1000円程度がめやすです。無料からお茶代として300円くらいのところもありますので、特別なイベント時でもないのに「親の会」で3000円も取るようなところは怪しいと思った方がよいでしょう。
カウンセリングもおすすめです。カウンセラーとは相性もありますが、話をしたときに自分の苦しんでいたことをそれとなく察してくれる人は相談者としておすすめです。「全国webカウンセリング協議会」は、相談してよかったという声も多くあり、質の高いカウンセラーが集まっているという印象を受けました。
不登校時の経験は、大人になってから生きる基礎になる
──フリースクールや通信制高校で居場所を見つけられる人もいれば、そこでも不登校になり苦しむ人もいます。
石井 『不登校新聞』では多くの人にインタビューをしていますが、同じことを言う人は一人もいません。みんな違うことを言いますが、どれもその人の価値観では「正しい」ことです。それが多様性ということなんだと思います。
私は不登校時代に昼夜逆転の生活をしていました。明け方寝る前にお腹が空くので、そのうちに、自分で料理をするようになりました。10年前に結婚したのですが、我が家では食事は私が担当しています。妻が私の料理を「不登校していてくれてよかった」と絶賛してくれるのは、不登校時代の「ひきこもり飯」のおかげです(笑)。
不登校時代って、エネルギーを貯めている時期なので、たとえ目にはみえなくてもなかでなにかが育っているんだと思います。不登校の時にやっていたことは、大人になってから生きる基礎になるので、不登校したから怠けているとか弱いと思わず、ただ今日を一生懸命生きればそれでよいのではないでしょうか。
──石井さんは『不登校新聞』で、「不登校を減らす」と、「不登校への理解共感を増やす」のどちらを目指しておられるのですか。
石井 実は、最終的には『不登校新聞』の廃刊が目標なんです。
私は、不登校は悪だとは思っていませんが、不登校の子どもは孤独感に陥りやすく、自己肯定感も低くなります。新聞のタイトルと社名を『不登校新聞』としているのは、「不登校」が差別用語だと思っているからです。
近年は文科省もようやく、不登校児をただ学校に戻すという方針での対応はやめるようにという通知を出し、学習指導要領にもそれが反映されるようになりましたが、まだ不登校の子は怠けているし、親のしつけが悪いというイメージが根強くあります。
学校側も保護者側も変わっていく問題提起をし続けることで、不登校を選ばざるを得ない子どもたちの孤立感や罪悪感が少しでも減っていき、いずれ「不登校新聞なんてあったね」と誰もが笑える時代が来ればいいなと思っています。
(取材・構成:相澤洋美)
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