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創造性を誘発するのは“あなた自身”

 パフォーミング・アートというジャンルのなかには、アルコールやドラッグの害にさらされている若いパフォーマーがいる。アルコールやドラッグを使えば創造性が高められ、成功が約束されるという通念がはびこっているからだ。多くのポップ・アイコンやジャズ・ミュージシャンが、このありがちな誤謬を信じている。悲しいことにこういった行動をとると、寿命がかなり縮まるという結果をもたらしかねない。ジム・モリソン、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックスといったパフォーマーも、依存症が悪化するにつれ、創作のモチベーションは低下していった。

 この文化的固定観念(ミーム)は若い人々のあいだでいまだに広がりつづけている。インスピレーションを得るためにはある種の精神的苦しみを経験しなければならず、天才なら誰しも悲劇的な生を生きなければならない――神経科学的に言えば、そんなのは誤謬だ。精神的な苦しみと創造性は、たがいを誘発するのではない――誘因となるのはしばしば第三者的要素であり、そのせいで苦しみと創造性は同時に発生したりする。相互関係は因果関係とイコールではない。ふとしたときに誘因となる第三者的要素とは、シロウトっぽく言えば、あなた自身だ――つまり、脳の構造、遺伝、そして遺伝を表面化させる環境的トリガー。

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 アートと痛みは、単に同じ木から伸びた枝だ。そしてその木の幹とは、個人個人の心。だからトンネルの終わりに見えてくる光や、多くの知恵の源は、たぶん子供のころパパから聞いたあの古い格言――汝を知れ、ではないだろうか。

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 このゲームでは、学ぶのに遅すぎることはない。こういった問題は単なる過去の遺物でもなければ、あるひとつの時代の特産品でもなく、音楽の一ジャンルに限定されるものでもない。この本を書いているあいだも、音楽のトップ・アーティストがまたひとり、死亡年齢グラフのまさに最初のピークあたりで亡くなってしまった。スウェーデンのエレクトロニック・ミュージック・プロデューサーのアヴィーチー。享年28。この文章をしたためている時点では、家族の証言から、自殺による死だったのではないかと考えられている。