1ページ目から読む
2/3ページ目

連帯責任の指詰めも行われていた

 暴力団組長の逆鱗にふれたばかりに指詰めを強要されることもあるが、なかには子分や兄弟分の責任を取って行われるケースもあるようだ。

 暴力団業界を30年近くウオッチしてきた警察当局のベテラン捜査員が指摘する。

「若い衆の不始末について、代わって指を詰めるということも実際にあった。若い衆の指導がなっていなかった責任を取るという意味のようだ。兄弟分の責任を共同で取る意味で詰めるということもある」

ADVERTISEMENT

 そのほかに、暴力団組織の間で起きたトラブルについて、解決へ向けて指を詰めるということもあるという。

「対立抗争になりかねないほど揉め事が大きくなってしまって収拾がつかなくなり、『自分が指を落とすので、これで納得してほしい』と相手に誠意を示すということもあった」

 ただ、こうした暴力団業界で称賛の対象となるケースはごくまれだという。

写真はイメージです ©iStock.com

「自分の切断した指」で誘拐事件を自作自演

 一方、指詰めを強要される問題だけでなく、切断した指先を見せて現金を脅し取る事件も2018年12月に摘発されている。

 元暴力団組員だった男(49)が2018年6月、都内の路上で通行人の20代の男性3人に「たばこの灰がかかった」と言いがかりをつけて、欠損した左手小指を見せつつ「俺はこういう世界にいる」と脅迫。クリーニング代名目で7万円を脅し取ったとして恐喝容疑で警視庁に逮捕されている。逮捕された男は、「何百件もやった」と供述していた。

 切断した指を利用してカネをだまし取ろうとした事件も摘発されている。

 1995年9月、東京の暴力団組長(47)らが、所属していた上部組織から身代金として5000万円をだまし取ろうと自作自演の誘拐事件を計画。共犯者の組員(38)に「組長が誘拐された」と上部組織の本部に電話させて現金を用意させようとした。

 事件を起こすにあたって、組長は自らの小指を切断していた。上部組織に切断された指を示して、誘拐されたことを信用させることが目的だったとみられる。