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 男性の場合はどうでしょうか。170センチ60キロのBさんを例に見てみましょう。

 BさんのBMIは「60÷1.7÷1.7」で20.8。ダイエットを繰り返した場合には、6.96上がって27.8。もともとは適正範囲の中でもどちらかといえば細い方だったのに、10年後にはBMIが25を超えて、肥満の領域に入ってしまいます。体重は80.3キロと、なんと20キロ以上も増えています。

 それに対して、Bさんがダイエットをしなかった場合。BMIは3.45上がって24.3、体重は70.2キロと、適正範囲内に収まっています。何もしなければ適正体重でいられたのに、ダイエットしたばかりに肥満になってしまうなんて、悲しすぎます。

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 Bさんが不健康な体重コントロールを繰り返していた場合は、どうでしょうか? BMIが5.42上がって26.2。男性はなぜか、不健康な体重コントロールの方がダイエットよりもBMI上昇値が少ないのですが、それでもやはり肥満の領域に入ってしまいます。体重は75.7キロです。

 ダイエットや不健康な体重コントロールをする人の割合は、男性の方が女性より少ないものの、それらを繰り返した場合の影響は、決して小さくはないのです。

太めの女子がダイエットすると、BMI上昇幅が大きい

 ニューマーク-ステイナー博士は、研究開始時点で太めだった人(BMIの上位15パーセント)に関するデータも公表しています。

〈BMI上位15パーセントの女子学生のBMI上昇値〉

  ダイエットなし 1.64 ダイエット継続 4.47

  不健康な体重コントロールなし 0.15 不健康な体重コントロール継続 5.19

〈BMI上位15パーセントの男子学生のBMI上昇値〉

  ダイエットなし 2.16 ダイエット継続 5.22

  不健康な体重コントロールなし 2.48 不健康な体重コントロール継続 4.64

 注目すべきは、女子学生のうち、不健康な体重コントロールを繰り返した人たちのBMI上昇値です。

 不健康な体重コントロールを繰り返した女子学生のBMI上昇値は、全体でも4.63と高かったのですが、開始時のBMI上位15パーセントに入る太めの女子学生に限ると、10年後にはなんと5.19も上昇していたのです。

 これは、たとえば身長160センチBMI25(体重64キロ)の女子学生が、10年後にはBMI30.19、体重は77.3キロになったということです。

 この女子学生が、もしも不健康な体重コントロールをしなければ、BMI上昇値は0.15。10年後のBMIは25.15、体重は64.4キロであり、10年前とほとんど変わっていないのです。

 これらの数値が示すのは、ダイエットや不健康な体重コントロールを繰り返していると、何もしない場合よりも、確実に体重が増えるという事実。ダイエットするくらいなら何もしない方がいいという、まさにコマーシャルでは語られない“不都合な真実”です。

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