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「米国の優位性が明確に失われている」

 同レポートはそのうえで、「米国の科学倫理の価値を損ねている」と中国に厳しい目を向ける。「中国政府だけが(標的となる技術の)情報収集をしているわけではない」としつつも、「おそらく最も強大で、組織されている」のが中国だと強調した。特に、国家情報法が国民に情報機関への協力を義務づけ、協力したことを口外しないよう求めていることに懸念を示している。そして、中国による研究への不正な介入が、「より長期的に見れば、経済安全保障や国家安全保障に対する脅威となる状況である」と分析を加えている。

 ジェイソン・レポートがここまで中国の脅威を強調するのは、学術研究成果で米国が中国に追い越されようとしていることも関係している。

 学術論文の発表数に関していえば、中国は13年までに、物理と宇宙に加え、化学、再生可能エネルギー、コンピューターサイエンス、量子コンピューター、AI、ナノテクノロジー、原子力工学、物理科学、生物学などの分野で、米国をリードした。同レポートは、「21世紀のはじめの10年で、特に科学・テクノロジー分野における米国の優位性が明確に失われている」とし、「米国の国家安全保障にとって次第に重要になっているAIや極超音速などの分野において、中国が世界のリーダーであることは疑念がない」と認めている。

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 こうした現状分析を踏まえ、レポートは「利益相反」の完全な情報開示の必要性を勧告した。外国人研究者については、出身国などから資金を受け取りながら、米政府や米国機関の助成も受けて研究を行っている場合、技術流出の懸念が生じるとし、「外国人研究者には全ての所属、学位、修了課程を開示することを求める」と明記した。情報開示を守らない場合には、研究成果の捏造などと同等の法的処罰を与えることにも言及した。

 ジェイソン・レポートを受け、国防総省や大学における基礎研究などに資金を提供する事業を行っている国立科学財団などは、研究資金の申請時に利益相反に関する情報開示を徹底する措置をとった。

 そのうえで、財団の研究費と外国研究費の重複受給を開示していなかった25のケースに対し、研究費の取り消しや停止の措置を講じたという。