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洋上風力発電が“原発45基分の発電量”をもたらす? 日本のエネルギー会社が見せたかつてない“本気”

『グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす』より #2

2021/10/05

source : 文春新書

genre : ビジネス, 国際, サイエンス, テクノロジー, 企業, 経済

note

洋上風力発電の調査開発から実運営まで

 まず2‌0‌1‌8年に、先述のオーステッドがリードするフォルモサ1(22基、12.8万キロワット)で、オーステッドの35%に次ぐ、32.5%の出資比率を確保しており、2‌0‌19年12月から稼働させている。ほかにも2‌0‌2‌1年稼働予定のフォルモサ2(47基、37.6万キロワット)、さらには2‌0‌2‌0年代後半建設開始予定で、世界有数規模のフォルモサ3(約2‌0‌0万キロワット)の最大出資者になるほどの力の入れようだ。同じ「フォルモサ」だが、実はそれぞれ事業主体が異なり、この3つの案件を通して「洋上風力の調査開発から、建設、実際の運営まで異なる段階のノウハウを手に入れられる」(奥田)のだという。

写真はイメージです ©iStock.com

 JERAが台湾での案件を手掛けるのは、もちろんその視線の先に日本の巨大市場が見えているからだ。先述の秋田県沖での公募では、電源開発(Jパワー)、ノルウェーのエクイノールとコンソーシアムを組み、3区域の応札に名乗りを上げている。奥田は「JERAの経営資源を考えると、洋上風力に集中投入していくべきです。同じ再エネでも、分散型の太陽光はハウスメーカーなども担っていく一方で、洋上風力のように巨大なインフラを開発するノウハウでは、まだまだ電力会社の出番があります」と話している。

 確かに、この章で見てきた「グリーン・ジャイアント」たちは、そのいずれも従来の電力会社や石油・ガス企業が、徐々に再エネ企業へと転身してきたものだった。その意味では、欧州から10年以上遅れを取ったとはいえ、JERAは彼らと近い道のりを辿っているのかもしれない。

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