そもそも「片頭痛」ってなに?
その疑問を解く前に、片頭痛という病気についておさらいをしておきたい。
「ズキン、ズキン」という拍動性の強い痛みを引き起こすこの頭痛は、まだそのメカニズムが解明し尽くされているわけでもない。
収縮した血管が拡張して、そこを血流が通るときに痛みが起きるという「血管説」、あるいは神経伝達物質のセロトニンが減少して痛みが起きるという「セロトニン説」、さらには血管に起きた炎症を三叉神経が感じ取って、脳に“痛み”として知らせることで起きるという「三叉神経説」など、この病気については様々な学説が語られてきた(現在はほぼ「三叉神経血管説」で合意が得られているという)。
発症のメカニズムは別として、一つ言えることは「片頭痛はかなり痛い」ということ。
その程度こそ個人差があるが、あまりの激痛に身動きが取れなくなり、ただうずくまって痛みが治まるのを待つだけの人もいる。
外出中に頭痛発作が起きればさらに事態は深刻で、激しい痛みに苦しむ様子を見た周囲の人が救急車を呼ぶことも珍しいことではない。
そもそも「痛み」とは何のために起きるのか――。
本来「痛み」とは、体のどこかに「よくないこと」が起きていることを当人に報せるための現象だ。
体の表面のキズなら見てわかるが、体の内部だと異常が起きても見えないので気付きようがない。そこで「痛み」が登場する。
胃に炎症が起きていれば「胃痛」として、歯の根っこで神経が侵されていれば「歯痛」として、異常の発生を報せてくれる。痛いのはつらいから、その人は何らかの手当てをする。それによって体に起きている異常を修復し、正常な状態に戻すことができるのだ。
当然頭痛は頭のどこかに「よくないこと」が起きていることを訴えているはずなのだが、片頭痛の人の頭を調べても、これといった異常は見当たらない。先に挙げた炎症の可能性はあるものの、それを伝えるにはあまりにも痛みが大き過ぎる。
そこで今回のテーマの「気圧の変化」が浮上する。