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錦鯉とインディアンスの“共通点”

 一方、もともとボケが強いコンビの場合、ツッコミがそれを上手く制御できるかどうかが勝負の分かれ目になっていた。昨年も決勝に行っていたインディアンスと錦鯉はボケが強いコンビだったが、今年はツッコミが以前よりも目立っていた。

 錦鯉の渡辺隆は、ボケの長谷川雅紀を自由に遊ばせながらも、要所要所でグッと手綱を握って力強くツッコミをいれて、笑いを倍増させていた。インディアンスも、ツッコミのきむが技術的に進化していて、田渕章裕のパワフルなボケに負けていない自然なツッコミを見せていた。

インディアンスの田渕章裕(左、ボケ担当)ときむ(右、ツッコミ担当) ©山元茂樹/文藝春秋

 錦鯉とインディアンスは、もともとあったボケの強さを生かしつつ、そこにツッコミを的確に絡ませていくことで、今まで以上の大きな笑いを起こして、最終決戦へと駒を進めた。最終決戦はオズワルド、錦鯉、インディアンスの3組によって争われることになった。

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オズワルドはなぜ優勝できなかったのか?

 オズワルドは優勝候補と言われていたが、最終決戦ではほかの2組に比べると今ひとつ空気をつかむことができず、敗れてしまった。

 ファーストラウンドで圧勝していたオズワルドが最終決戦で大失速した理由の1つは、インディアンス、錦鯉との芸風の相性の悪さである。インディアンスも錦鯉も、大声を出して派手に動き回る強烈なボケを擁するパワーファイターである。それに比べると、オズワルドは終始落ち着いたトーンでネタを進めていく。

オズワルドの畠中悠(左、ボケ担当)と伊藤俊介(ツッコミ担当) ©山元茂樹/文藝春秋

 もちろんそれが彼らの持ち味なのだが、錦鯉とインディアンスの直後にネタを披露すると地味な印象に見えてしまい、ネタの序盤で空気をつかめないと、そこから巻き返すのが難しくなる。

 オズワルドが彼らの後にネタを披露することになったのは、ファーストラウンドで圧倒的に面白いネタを演じて、1位通過を果たしたからだ。つまり、皮肉にも、彼らは1本目に演じたネタが面白すぎたせいで、2本目のネタを最後に演じる羽目になり、そのことで流れをつかみ損ねたのである。これが勝負の綾というものだ。