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「とにかく自立するお金を貯めなければならないので…」意外と知らない女性受刑者たちの出所後“就職事情”に迫る

『誉田哲也が訊く!~警察監修プロフェッショナルの横顔~』より #2

genre : エンタメ, 社会

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平均3、4ヶ月で施設を出る

誉田 それは皆さん、それぞれ自分で見つけてくるんですか?

木下 ハローワークに特別窓口というのがあって、そこから斡旋してもらうことが多いです。あるいは、そういう経歴の人を積極的に支援してくれる協力雇用主というのがいて、そちらでお世話になる人もいますね。しかし、なかには受刑者であることがバレたくないという人もいますから、その場合はハローワークで不開示で探してもらったり、自分で就職雑誌の求人を見て応募することになります。

誉田 なるほど。ただ、やはり理想としては、事情をすべて知ったうえで働かせてもらうに越したことはないんでしょうね。

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木下 本当はそうなのですが、なかなか自分から履歴書に保護観察中とは書きにくいですからね。自分で仕事を見つけてくる人は、そのあたりには触れず、黙って働かせてもらっていることが多いようです。とにかく自立するお金を貯めなければならないので。

誉田 この施設にはどのくらいの期間いられるんですか?

木下 基本的には仮釈放の期間のみですが、その期間が短かったり、何らかの事情のある人は半年間は生活できます。平均的には3、4カ月で出ていく人が多いです。

なかには同じ罪を繰り返してしまう人も

誉田 ご飯も食べられてお風呂にも入れて、こんなに好待遇なのに意外と早く出ていかれるものなんですね。場所だって駅前の一等地じゃないですか。

木下 仮釈放の期間がばらばらなので平均するとその程度になりますが、なかにはやはり集団生活になじめない人もいますからね。お風呂やトイレは共同ですし、それに職場で、住所から素性がバレてしまうこともあるようです。施設の名前を書いていなくても、地域の事情に詳しい人には住所でわかってしまうんです。

誉田 ここを出た皆さんは、きちんと更生して暮らしている方が多いんですか?

木下 大半の人はそうですが、なかにはそうではない人もいます。私たちとしては当然、更生して自立することを目指してやっているわけですが、たとえば薬物であったり窃盗であったり、同じ罪を繰り返してしまう人がいるのは残念ながら事実です。