「指さなくてはファンじゃない」とは思わない
――アパガードの歯磨き製品を全員にいただけた他にも、お菓子や化粧品、高級調味料などたくさんの賞品がありました。どのように提供してもらっているのでしょうか。
中倉 地道に営業活動しています。ツテのある会社で、女性向けの賞品を出してくれそうなところに、私や島井さん(咲緒里女流二段)で訪ねてお願いしています。門前払いということはほとんどなく、できる範囲で賞品をご提供いただけることが多いです。
ただ、、私たちに大きなメリットがあるのはもちろんですが、スポンサーにとっても、宣伝効果や、CSRの観点など、協賛意義を感じてもらえるのが理想です。そのためにも本大会の価値を高めていく努力が必要だと思っています。コロナ禍で2年連続オンライン開催でしたが、今年は対面に戻す予定です。
――観る将と言われる女性ファンもたくさんいます。そのような方へのアプローチは考えていますか。
中倉 決して「指さなくてはファンじゃない」とは思いません。女性ファンを増やしたいと考えてきたので今の状況は嬉しいです。ただ、男性棋士のファンの方が多いようなので、私たち女流棋士の団体で喜んでいただけるイベントを開くのは工夫が必要だと思っています。今年、蛸島さんの出版記念のトークショーを開催した際、解説役として菅井竜也八段にお越しいただいたところ、女性ファンの方からも申し込みがありました。観て楽しめるイベントも今後増やしていきたいですね。
LPSAのアピールが足りない
観る将の方のなかにも、自分も指してみて棋士のすごさを少しでも理解したいという気持ちを持っていて、指すことを始める方もいます。そのような方には敷居を低くしてお待ちしています。アパガード杯女子アマ団体戦では初心者向けのCクラスを設けていて、初めてこの大会に出る方が3人以上という条件にしています。
――私のような級位者で大会に出るのが好きな女性の立場から見ると、LPSAができてから女性大会、特に初心者や級位者が出やすい大会が増え、LPSAの女子アマ団体戦の成功の影響で他にも団体戦ができたり、将棋を指す女性が増えていったのを実感しています。
中倉 そうおっしゃっていただけるのは大変嬉しいです。ただ、LPSAの存在意義についてはアピールが足りないように思っています。日本将棋連盟との和解が進むにつれ、ファンの方に女流棋士で2つに分かれているより、元の形に戻ったらと言われることが増えてきました。そう言われるのは、私たちの存在意義が理解されていないせいなのかなと。日本将棋連盟とは違う普及活動もしてきたので、うまくアピールしていきたいと考えています。