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――大企業の会長から、刑務所に収監されたわけですから、まさにジェットコースターのような経験ですよね。

井川 刑務所に服役したのは、僕自身はいい経験をしたなと思っています。人間って遊園地の1日券を持って生まれてくるようなものだと思うんですよね。「並ぶのがめんどくさいから、ジェットコースターにも乗らずに過ごす」よりは、「並ぶのはしんどいけど、その先におもしろい経験があるならそれを経験してみたい」と思うじゃないですか。

 

今までの人脈や経験を活かして、できる範囲で人助けができたら

 ラテン語に「メメント・モリ」って言葉がありますよね。「死を忘れるな」という意味なんですけど、続きがあって「カルペ・ディエム」=「今を楽しめ」と続くんです。要は、いつ死ぬかわからないんだから、今を楽しめってことなんです。僕はそうやって生きていきたいなと思ってます。

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――最後に今後の目標を教えてください。

井川 経営者をやっていたのでいまはその時の経験を活かして、知り合いの会社のコンサルティングをしています。そうやっていままで自分が築いてきたもので、周りの人の役に立てることがあるならそれをやっていきたいなという感じですね。

 

 経営者をやっているときは「自分のことは自分でやれよ」と思ってたんですが、刑務所に入ったらいろんな人が心配してきてくれて。その時に「ああ、人に頼っていいんだな」と思ったんですよね。それから、人に何か頼まれても「いいですよ」と言えるようになったんです。人に助けられるのも、助けるのもいいものだなって。だから自分も今までの人脈だったり経験を活かして、できる範囲で人助けができたらうれしいなと思っています。

インタビュー撮影=釜谷洋史/文藝春秋

熔ける 再び そして会社も失った

井川 意高

幻冬舎

2022年6月27日 発売

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