「次第にダイアナとチャールズはすれ違いが増えていく。92年の書籍『ダイアナ妃の真実』で、カミラはダイアナを苦しめた女性として描かれ、英国で最も嫌われる女性となった。翌年にはチャールズとカミラの電話の音声も流出し、ダイアナはカミラを『ロットワイラー犬』とまで言ったという。結局、チャールズは96年に離婚し、カミラもその前年に夫と別れた」(同前)
チャールズの祖母・エリザベス皇太后はカミラを嫌悪し、エリザベス女王に至っては、「邪悪な女性」「いかなる形でも関わりたくない」と言い放ったという。
97年の国民アンケートではほぼ全員が「NO」
国民の間でも批判的な意見が殆ど。97年、テレビで「カミラが女王になるか」と問われた3000人の、ほぼ全員が「NO」と答えた。
ダイアナ亡き後は、チャールズは堂々とカミラと公式行事にも参加するようになり、2005年、遂に二人は正式に結婚式を挙げる。
だが「カミラ=愛人」という負のイメージは国民に根強く残った。カミラ自身もそれを理解しているのか、結婚しても、ダイアナの称号でもあった「ウェールズ公妃」の称号を辞退。また批判を浴び続けても、ひたすら耐えた。
今では一対一でお茶を飲む仲に
「17年、取材で『本当に恐ろしかった』と語るまでは沈黙を守っていた。一方で、積極的に公務をこなした。動物愛護、性的虐待撲滅支援、教育支援など90以上の慈善団体のパトロンを務めた。コロナ禍では、女王が公務を縮小せざるを得なくなったため、代わりにカミラが役割を担うことも増えていった」(同前)
女王の信頼も勝ち取り、今では一対一でお茶を飲み、ズームで公務の打ち合わせもするようになったカミラ。今年1月、女王は彼女に英国最高の勲章を授け、今回の「王妃」発言に繋がった。
『デイリーメール』の緊急アンケートによれば、国民も55%が好意的に見ているという。50年の忍耐が実を結んだ瞬間だった。
文・近藤奈香