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ヤクルト「村神様」は、おじさんの流行語? 本当に物議をかもした「2022年の流行語」を考えてみた

2022/12/13
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野球以外の注目すべき流行語は…

 さて野球以外の流行語に注目してみると旧統一教会問題から「宗教2世」が選ばれていた。これは流行語で終わらせてはいけない。

「信仰を理由とした宗教二世への児童虐待や権利侵害は他の団体でも問題となっている」(東京新聞12月9日)からだ。

 私が旧統一教会問題からさらに選ぶなら「濃淡」という言葉も入れておきたい。安倍晋三元首相の銃撃事件後、ニュースの解説でよく耳にした。教団と本当に関りが「濃かった」人は誰か。この点がうやむやになっている(うやむやにしたい人達がいるのだろうか)。

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©文藝春秋

 最近で言うと「配慮義務」という言葉もよく見た。被害者救済の新法のニュースで出てきた。法案には、寄付の勧誘にあたり「自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにする」と明記された。

《ただ「配慮義務」にとどまり罰則対象からは外れた。》(朝日新聞12月2日)

 なぜ罰則対象から外れたのか。マインドコントロールを定義するには議論が必要というが、他の重大な点もあった。

《政府関係者は、宗教法人への強い規制につながりかねない規定に、創価学会を支持母体とする公明党が後ろ向きなことも理由に挙げ、「(配慮義務違反を禁止行為にするのは)公明党が受け入れるはずがない」と話す。》(朝日新聞12月2日)

 つまり「配慮義務」とは公明党への「配慮」のことだった? そうも思えてくる。一体誰のための救済新法だったのか。

岸田政権が多用する、ずるいフレーズ

 次に年間を通して気になった言葉をあげてみたい。それは「事実上の○○」というフレーズである。岸田政権の案件はとにかく「事実上」が多いことに気づくのだ。

 たとえば安倍元首相の国葬は実態が明らかになるにつれ「事実上の政府自民党の合同葬」であった。