登録者数5万人超のYouTubeチャンネル「ブラック企業で生き抜く社畜を見守るチャンネル」を運営する“社畜系YouTuber”の玄田小鉄氏。彼は広告業界でデザイナーとして勤務し、自らを「自分は会社に雇われた奴隷」「社畜デザイナー」と表現するほど過酷な業務を行っているという。いったい、どれだけブラックな職場で働いているのだろうか。
ここでは、玄田小鉄氏がブラック企業でどんな働き方をしているのかを綴った著書『ブラック企業で生き抜く社畜を見守る本』(ワニブックス)より一部抜粋して紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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やればやるほど損をする
弊社だけかもしれませんが、デザイン事務所には作業の遅い人の手伝いをするという風習があります。そのためどれだけ迅速に作業をしようが、遅い人がいればその人の手伝いをするのです。
チームで仕事してるんだから当然でしょと思う方もいるでしょうが、これに関しては裁量労働制やみなし残業と相性がかなり悪いです。
優秀で手が速い人ほど多く生み出し、良質なデザインをします。一方で作業が遅くデザイン力も乏しい人もいます。優秀な人がそんな人を手伝って、長時間労働になっても残業代は発生しません。この仕組みは本末転倒に思えます。
デザイン事務所では、みなし残業の良くないところだけが活用されていて、やればやるほど損ばかりです。
でもこんな制度の中でも夢を持って、今は修行の場だと割り切って働いています。経験を積んで、今よりもいい環境に転職し、自分の理想とする働き方を手にしたいです。
38℃以下は平熱
ブラック企業で長年働いているといろんな事件が発生します。
働きつづけることでどんなパワハラにも揺るがない鋼の心を手に入れましたが、最初の頃は本当に苦しかったです。
ブラック企業では、人員も少なく休むことは基本的に許されません。年末年始など事前に休むことがわかっていれば休めますが、急に休むと代わりの人がいないので、残された人の業務量が爆増してしまいます。
それはたとえ体調不良であっても絶対に許されません。
ある日目覚めると体調がかなり悪く、熱を測ると37.8℃ありました。真っ先に考えたのは仕事のことです。その時は繁忙期で、自分の担当している業務も大量にありました。こんな時に休んだら殺されると思ってしまい、体からは熱による汗と焦りによる冷や汗が噴き出していました。