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夫婦同じテーマで書く

 有働 夫婦揃ってエッセイストでいらっしゃいますが、共著は今回が初めてだとか。

 本上 はい。夫婦での仕事は一切してこなかったんです。照れもあるし、お互いの仕事に介入しないのが暗黙のルールになっていました。そこにあえて踏み込んできたのが、今回の版元で京都に拠点を持つミシマ社の代表・三島邦弘さんでした。

 有働 夫婦同じテーマで書いたものを見比べてみて、どうでしたか。

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 本上 最初に感じたのは、20年以上一緒にいて大半の期間は同じものを食べていても、こんなに違う人間なのかということ。食べたもので体は作られるとよく言うけど、同じ人間にはならないんだなぁって。全然違う人間同士でもまあ機嫌よく暮らせるものなんだと実感しました。

有働氏衣装協力:レキップ/ニナ リッチ

 有働 澤田さんを「おやびん」、本上さんを「ちびまる」と呼び合っていることも、仲良しなのが伝わってきました。

 本上 お恥ずかしい。いい歳して何なんだろうって感じですよねぇ(笑)。

 有働 かわいいーって思いましたよ。執筆を通してさらにリスペクトや愛情は増しましたか。

 本上 お互い理解が深まったというのはあるかもしれないですね。同じテーマでエッセイを書くことによって、家庭内の一つの出来事でも見ているものが違うし、両方の視点があるからこそうまくいくこともあるなというのは実感しました。普段からよく会話はする方ですけどね。

 有働 会話は関西弁ですか?

 本上 そうです。

 有働 私、本上さんと自分は何もかも違うと思っていたんですけど、実は同じ大阪育ちでした。本上さんにそのイメージはなかった。

 本上 だから関西のおばちゃん気質なんです。滋賀出身の夫もそう。私は普通のおばちゃんで、夫はちょっと面倒くさいおばちゃん。

 有働 男のおばちゃん(笑)。家の中におばちゃんが2人いたら言い合いもすごいのでは?

 本上 すごく気が合うのか、ケンカは一度もしたことがないんです。お互い何でも気兼ねなく頼み事をするし。同志のような感覚ですね。まあ「おやびん」と口で言っている割には、下に見ているところがなきにしもあらずです(笑)。

本上まなみさんと有働由美子さんの対談「18歳年上夫と京都移住で人生が変わった」全文は、月刊「文藝春秋」2023年7月号と、「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

文藝春秋

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