今、中堅俳優のリーダー格として注目されている小栗旬。2023年6月8日、所属事務所トライストーン・エンタテイメント2代目代表取締役社長に就任し、様々な方向から注目が集まっている。賛辞も期待も感謝も、嫉妬も批判も攻撃も、まさに「様々」だ。

社長就任、次世代への改革

小栗旬 ©AFLO

 本人が一番その視線を感じているのだろう。約1か月前、5月28日に放送した「まつもtoなかい」(フジテレビ系)で、ゲストとして出演した小栗旬は、「何か新しいことというか、打破しようという電波を常に立てているように感じるのだけど、そういうのを考えているんですか」と言う中居正広の問いに、こんな風に呟いていた。

「少しだけ自分が、なんか疲れちゃったなぁ」

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 さらに落ち込むときはすごく落ち込む、というトークに松本人志は「小栗君でも落ち込むの」と驚いていた。ただ、見ているこちらとしてはあまり意外ではなく、小栗旬は「疲れる、凹む」がわかりやすく出るイメージがある。遡れば、2007年の「情熱大陸」は疲れと苛立ちを露骨にカメラの前で出して話題になっていたし。

「なにかを打破したいという気持ちはある」とも話していたが、彼の場合、芸能界を自分の手で積極的に変えたいというより、漠然と「自分がすべきなんだろうなあ」と察知している風に見えるのだ。

©AFLO

 頼られる存在に成長し、迎えた40歳のターニングポイント。周りを見渡せば、時代と共に急速に変わっていく業界やモラル、コミュニティの在り方。そして気がつけば自分がその変革期のど真ん中に位置し、改革を求められる――。

「正直、どうすれば(いいか)わかんない」と、ちょっと遠い目になっている小栗の迷いは、40代という働き盛りの世代の迷い、また、今の時代の迷いそのものに見えた。彼が主演をつとめたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の「ここは鎌倉」――この一言で不条理が通ってしまうあの時代と、現代はちょっと似ているかもしれない。

義時を「当たり役」にするすごさ

 2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は素晴らしい作品だったが、北条義時が小栗旬じゃなかったら、ここまでヒットしただろうか、と思う。ただ、私がそれを思ったのは、放送が終了してからである。余韻と共に、義時がジワジワと思い出されるのだ。時間差でやってくる存在感!