中国の街中で意外と見かける服装、それが「JK制服」と呼ばれるスタイルである。

 例えば現在北京の大学に留学する筆者は、夕食時の学生食堂で1日に4人、このスタイルの女子学生を見かけたことがある。北京で若者が多いスポットを30分でも歩けば5人はJK制服に出会う。

 日本における制服ディズニーとはまた異なる感覚で、日本の女子高生風の装いが、ここ、中国では普段着として受け入れられているのだ。

ADVERTISEMENT

アンケート回答者より提供

ジャージが制服の中国で、“JK制服”が人気に

 中国における「JK制服」は、インターネットやソーシャルメディアの普及と共に、日本アニメやAKB48、日本の青春映画等に触れた若年層の間で流行している。

 アジア圏では学校で制服の着用を求められることが珍しくないが、中国においては制服とは通常運動ジャージであり、そのため、アニメや映画で目にする日本の制服が新鮮に映ったのかもしれない。当初はコスプレの一環として受け止められていたが、徐々にサブカルチャーのひとつに成長した。

 実際に中高時代、日本で制服を着たことがある人間からすると、中国の「JK制服」は実際の制服よりカラフルなものが多く、現実離れしたものに感じられる。可愛らしさが強調されており、実際の制服というよりは、アニメや漫画の登場人物、あるいはアイドルが着る制服を参考にしているようだ。

アンケート回答者より提供

 SNSサイトWeiboでは愛好家が118万人以上確認でき、中国の漢民族の伝統的な服飾をもとにしたとする漢服(愛好家数136万人)、ロリータ(愛好家数36万人)と並びジャンルが確立されている。揃えるのにお金がかかる趣味という意味を込め、この3つをまとめて「破产三姐妹(破産三姉妹)」「三坑(3つの穴)」とするスラングもあるほどだ。日常的な着やすさも相まってか、筆者が北京で生活していてこの3つの分類内で最も目にするのはJK制服だ。

 実際の日本の学校制服を身につけたいというコアな層も存在するものの、中国国内からJK制服を販売するブランドが多々生まれたことで、現在は比較的安価かつ手に入りやすくなったこともここまで広がりを見せた一つの要因であろう。