ーー強い目的があると、覚えられるものですか。
サニバニ 私、頭いい人が好きで。で、その人に「おもしろい人」と思われたいから、言葉も勉強もメッチャ頑張って。
授業はウルドゥー語か英語で。科学の授業とかは英語で、国語の授業はウルドゥー語。恋愛の力で言葉も勉強も頑張ってるうちに、だんだんと耳が慣れてきて。しかも、小3ってギリ脳みそが吸収しやすいスポンジ状態だから、英語もウルドゥー語もイケちゃいましたね。ついでにヒンドゥー語も覚えちゃって。
ファッションは肌を隠す工夫をして楽しむ
ーー学校生活は楽しかったようですね。
サニバニ そうそう。毎年好きな人が変わってたし、友達もいっぱいいたから。最初のうちは友達ともしゃべれなかったけど、性格が「イェーイ」って感じだったのもあって、ボディランゲージで「あっち行こう」「これ食べたい」「遊ぼう」なんかを伝えまくってたんで。
あと、いろんなコンテストをよくやってる学校で。そういうのにも参加してたから、メッチャ楽しくて。
ーーコンテストは、どんなものが。
サニバニ 絵のコンテストとか。小さい頃から絵が得意で、小3ぐらいに書いた獅子舞の絵が美術館に飾られた記憶があるんです。それが、いまのファッションとか色彩感覚に生きてきてると思うんですけど。
ーーパキスタンにいた頃も、ファッションに気合いを入れていましたか?
サニバニ 自分のなかではメッチャがんばってましたけど、子供の頃のファッションってダサいものじゃないですか。だから、いま思えば「はにゃ?」って感じなんですけど、オシャレするのはメッチャ好きだったし、学年の中で一番目立ちたい欲はあったから、がんばっていました。
だけど、スカートとか穿くのは禁止で。シャルワール・カミーズっていうパキスタンの民族衣装が制服で、ズボンを穿くのが基本だったんです。だから、日本から持っていったやつを着てました。いま考えるとちょっとおかしいんだけど、かわいいタイツを穿いたり、下に長袖を着たり、うまく肌を隠す工夫をしてカバーしてましたね。
あと、あっちは夏休みに入る前に、校内でパーティーを開くんですよ。みんな私服を着ていくんですけど、「この日はこの色の服を着てね」ってドレスコードがあって。もう、そのときはメッチャ張り切ってオシャレして。
ーー肌を見せない着こなしに抵抗は。
サニバニ 心のなかでは、「もっとスカートとか穿きたい」とか思ってたけど、パキスタンではそういう服を着たら危ないから。誰かに連れていかれちゃったり、レイプされちゃったりとか。日本の洋服を着てたら、向こうの男性からの目線を向けられているのを子供心にすっごく感じた記憶があって。