「野菜」から食べる──ベジタブルファーストのすごい効果
食事の際、食べる順番を変えると血糖値も大きく変わる。
2型糖尿病患者や前糖尿病段階の人と健康な人を対象にしたいくつかの研究によると、デンプン質の炭水化物を摂る前、食事の最初に繊維質の野菜を摂ると、血糖値が最低20%~最高70%、インスリン値が最低25%~最高50%減少することがわかった。
毎食野菜を食べるのが難しい場合でも、炭水化物を摂る前にタンパク質を摂るだけで同じ効果が得られるという。
ここで重要なのは、炭水化物の供給源(穀類、豆類、根菜類など)を最後に食べることだ。
こうした血糖値に対するプラスの影響は、長期にわたって効果を及ぼす。
2型糖尿病患者を対象にしたランダム化対照試験では、毎食ごとに「野菜を最初、炭水化物を最後に摂る」アドバイスに従ったほうが、アメリカ糖尿病協会の糖尿病患者向け標準交換食品リストを守るよりも、HbA1c(ヘモグロビンA1c)を下げるのにかなり著しい効果があったという。
その効果はわずか1か月ほどで表れ、少なくとも2年後、研究データの収集が終わるまで続いていた。全体として、この「1回の食事のなかで食べる順序を変える」というささやかなコツのおかげで、HbA1cは8・3%から6・8%まで大幅に減少した。
これにより、参加者の大部分は完全な糖尿病状態から、診断の下限値あたりまで数値が改善した(6・5%以上が糖尿病、5・7~6・4%が前糖尿病段階、4~5・6%が正常値といわれている)。
2型糖尿病患者を対象にした別の研究でも、同様の結果が報告されている。食事のなかで高炭水化物食品を最後に食べることで、食後血糖値が大幅に下がり、1日のうちの血糖値の変動も少なくなった(つまり、エネルギーレベルが安定した)。HbA1cや空腹時血糖値も低下したという。
ビルにはごくシンプルなやり方を進めてもらうことにした。できるかぎり繊維質の野菜を最初に食べるようにし、野菜を摂らないとき(朝食にはそういう場合がときどきある)は、代わりにタンパク質を摂る。そして米やパンなどの炭水化物は、つねに最後に摂るというルールだ(低炭水化物ダイエットにも挑戦してもらっていたので、炭水化物を摂らない場合もあった)。