しかし、会社のデータベースで、この見出しを検索してみたところ、どこにも見つかりません。さらには、グーグルなどの検索エンジンでも検索しました。が、結果は同じ。そして、——デジタル化される前の資料を含め——何でも見つけられるツールを持っている、社内の調べ物が得意な人たちにも調査を頼みました。しかし、そんな見出しの記事は存在しなかった。
このように、人工知能にはまだ「正確さ」に問題があるわけです。だから、私はAIで遊んだことはありますが、日常的に使っているわけではありません。
AIは人に話を聞いたりしてくれない
ChatGPTは、情報の出所までは教えてくれません。加えて、ChatGPTにインプットされている情報は、1~2年前くらいのものであり、現時点の情報はまだインプットされていません。
私がやっているのは、独自の調査なのです。つまり、政府の統計や研究論文に目を通したり、現実世界でテクノロジーを利用している人たちに話を聞いたりといったことです。こうしたことをAIは代わりにやってくれません。
たとえば、アメリカのコールセンターで働く労働者数の推移を調べるために、ChatGPTを使ったところで、「それなら労働統計局に問い合わせたら」と人工知能に返答されるのがオチです。
こんなふうに、私はChatGPTを使っているわけではありませんが、私の同僚で使っている人は多くいます。記事を書くときの取っ掛かりとして使う人も多くいるのです。
ウィキペディアの知識をChatGPTで使用
ChatGPTが役に立ちそうな場面は、私にもたくさん思い浮かべられます。しかし、このツールが、実際に何をしてくれるのかについてはわかりません。だから、日常的に利用してはいませんし、その正確さを信用してもいないのです。
また、「ウィキペディアがなかったら、ChatGPTは存在していなかった」とも言われています。そこでは、ウィキペディアで磨きをかけられた知識が使われているからです。
もっとも、ウィキペディアには脚注があり、出典をたどることができます。満足するかどうかは別にして、「元の研究資料が何であるか」を一応は知ることができます。
でも、生成AIでは、それができません。むろん進歩はしています。繰り返しにはなりますが、その進歩のスピードがどれほどなのかについて、本当のところはわかっていないのです。