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 なぜLINE側はネイバーのシステムを使い続けるのか。

 LINEの元技術者は、今回の峯村氏の取材にこう述べている。

「LINEはもはや、ネイバーの技術やシステムがなければ運用できないほど依存している。ネイバー側は重要な部分についてはブラックボックス化しており、日本側がアクセスできない仕組みになっている。LINEがネイバーを切り離すことは不可能といっていいだろう」

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 LINEの国内月間利用者数は、9600万人(2023年12月末時点)で、日本の全人口の70%以上をカバーしている。1日に1回以上利用するユーザーは86%(2023年6月末時点)で、SNSのなかでも、とくに利用率が高い。

 しかも、LINEは単なる「コミュニケーションツール」にとどまらない。決済サービス「LINEペイ」や求人情報サイト「LINEバイト」など、日常生活に関わるあらゆるサービスを展開しているからだ。

 さらには、政府や多くの地方自治体が、LINE公式アカウント上で、住民からの相談や納税などに対応し、「行政業務のDX(デジタル化推進)のツール」として、LINEを大々的に活用している。2021年時点で中央省庁18機関、全国の地方自治体の約65%が業務に利用し、機密情報や住民の個人情報なども扱われている。

台湾当局や軍の要人がハッキングされていた

 2021年7月、16歳以上の約98%がLINEを利用している台湾では、台湾当局、政党、軍の要人など100人以上が、LINEを通じてハッキングされていたことが判明し、危機感が高まっている。台湾で安全保障を担う高官は、峯村氏の取材にこう述べたという。

「中国側によるサイバー攻撃の可能性が高い。多くの台湾人は、LINEは『日本製アプリ』だと信じて使っている。同社や日本政府には抜本的な対策を急いでほしい」

 峯村氏はLINEアプリ利用者にこう警告する。

峯村健司氏 ©文藝春秋

「ネイバーが中国に設立した『ネイバー中国』はネイバーのソフト開発や運用を担っており、LINEがネイバーと共通のシステムを使っている以上、中国側への情報流出のリスクがある」

「少なくとも、機密情報に触れうる国会議員、官僚、自衛隊員は、LINEを使ってはいけない」

 峯村氏が「LINEアプリの危険性」を明らかにした「個人情報ダダ漏れ LINEは危なすぎる」は、「文藝春秋」2024年5月号(4月10日発売)、および「文藝春秋 電子版」(4月9日公開)に掲載されている。

文藝春秋

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個人情報ダダ漏れ LINEは危なすぎる