「日本の時代劇にとらわれない考え方がすごく面白かった」
奥野 本当に楽しかったんですよ。例えば、初めて衣裳合わせをしたとき、日本の着物のはずなんですけど、あまりにも絢爛豪華すぎて、「これは、今までに見たことのない新しい着物だ!」と思えるものが目の前にあって。
着こなせるどころか着物のほうに着られちゃうんじゃないかと思えるほどでした(笑)。でも、画面を通すとそれがすごく合ってくるんですよね。
洞口 佐伯信辰の兜も、独特なフォルムをしていたり、凝った意匠でしたよね。
奥野 あれは僕もびっくりしました。コスチュームデザイナーのカルロス・ロザリオさんが、日本、イギリス、フランスなど様々な国から生地を集めてきらびやかな衣裳を製作されているとおっしゃっていて。
洞口 カルロスは、すごく楽しんでやっていましたよね。
奥野 ですよね。日本の時代劇にとらわれない考え方がすごく面白かった。
洞口 特に奥野くん演じる佐伯役と、浅野(忠信)くん演じる樫木藪重役の衣裳は、カルロスの好みが投影されているというか、かなり惚れ込んで作っているのが伝わりました。
日本から見ても、海外から見ても、違和感がない日本の景色
奥野 セットも凄かったですよね。僕が印象に残っているのは、広大な自然の中でのロケ。
普通はスタンドタイプの照明を使うものですが、『SHOGUN』では、何畳あるか分からないような巨大なバルーン状のライトを浮かせて、自然な明かりを作ったり。
山に囲まれた湖では、全体に靄(もや)がかかっていて、「こんなに美しいロケーションがあるのか」と驚いていたら、森全体をチューブで囲っていて、終始スモークを焚いていて。スケール感という点ではこれまで経験してきた現場とかなりの違いを感じました。
洞口 すごかったですよね。建物も全て本格的で撮影終了後は、どうするんだろうみたいな。
奥野 山の中に漁村を作ったり、温泉を作ったりして。日本から見ても、海外から見ても、違和感がない日本の景色を作っていた印象です。
洞口 最近だとCGでやっちゃうところもありますが、がっつりセットを組んでいましたよね。