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医学部をめざす高偏差値エリートに天才肌の発達障害が多い?

『発達障害』岩波明×『医学部』鳥集徹 ホンネ対談 ♯1

2018/04/30

天才的な発想をする人はASDタイプ

アインシュタイン ©文藝春秋

鳥集 発達障害ではないかと思わせる天才的な人と言えば、エジソンやアインシュタインを思い浮かべます。エジソンは子どもの頃、異常な知りたがり屋で、学校で「Why」ばかりを繰り返して先生を困らせたり、「なぜ物は燃えるのか」を知りたくて藁を燃やし、小屋を全焼させたといったエピソードが残っています。一方、アインシュタインは5歳頃まで言葉が出ず、コミュニケーションが苦手だったけれど、数学だけは小さい頃から傑出した才能を見せたと伝えられています。エジソンはADHD、アインシュタインはASDっぽいですよね。

岩波 これは僕の印象ですが、斬新で天才的な発想をする人の多くは、診断がつくかどうかは別として概してASDタイプです。記憶の仕方が独特で、文字を映像のように記憶してしまい、膨大な量の情報を一瞬にして覚えることが可能となります。もちろん全員がそのような記憶の仕方をできるわけではないですが、常人とは違う思考方法をしているのだと思います。

岩波明さん ©白澤正/文藝春秋

鳥集 確かに、天才的な人の中には、ちょっと勉強しただけで教科書が全部頭に入るという人がいます。また、発達障害の人の中には、「過集中」という傾向もあると本で読みました。それまでは好きなことばかりやっていたのに、受験となると何時間でも何日でも勉強をやり続けることができて、短期間で偏差値を急上昇させて、難関大学に合格する。私が取材したアスペルガーを自認する医師の方も、高校時代は成績が悪かったのに、1年の猛勉強で医学部に合格したそうです。「自分も猪突猛進の傾向がある」と話しておられました。

楽天・三木谷会長やトランプ大統領はADHDタイプ?

岩波 そうですね。勉強でも仕事でも、倒れるまでやる人がいます。ADHDの人はASDのように天才的ではないんですが、ある意味状況を変える突破力みたいなものを持っています。楽天の三木谷浩史さんのことを書いた『問題児』(山川健一著・幻冬舎)という本を読まれました? 三木谷さんは中学生の頃、勉強を全くせず、煙草を吸って、パチンコ、競馬、麻雀に明け暮れていたそうです。ところが、高校3年生の時に一橋大学に行くと決めて猛勉強を始め、1年の浪人で合格しました。好きなことにはとにかく集中するタイプで、学生時代はテニスにも熱中していた。そのエピソードを読むとADHDだと思います。このようにADHDの人は、秀才がコツコツやるのとは違って、力づくで状況を変えていく突破力みたいなものがある人が多いようです。

鳥集 だとすると、東大や京大など難関校にASDやADHDの人たちが集まるのは、むしろ必然とも言えそうですね。

岩波 逆にそういう人がいないと困るというか。東大や京大はそういう人に来て欲しいという面もあるんじゃないですか。

鳥集 確かに、そういう人がいないと、時代を変えるようなイノベーション(技術革新)は生まれません。それに企業や国を引っ張っていくには、それくらいのエネルギーがないといけないかもしれない。

岩波 国は引っ張んないほうがいいかもしれないけど(笑)。

鳥集 米国のドナルド・トランプ大統領もADHDなんじゃないかという意見があります。思いついたことをすぐ口に出したり、ツイートしたりしてしまう。気に入らない人は怒鳴り散らして、衝動的に首を切ってしまうところなども、ADHDっぽいと思います。