文春オンライン

「結婚した夫婦から生まれる子どもが少数派になっている国も…」日本の少子化を考える、意外なヒントは“婚外子”にあった

『結婚の社会学』より#1

6時間前

genre : ニュース, 社会

note

「子どもは結婚している夫婦から生まれなければならない」(嫡出子でなければならない)という社会規範のことを「嫡出規範」と呼びますが、今なおこの規範が根強く存在しているといえます。

 ちなみに、法律では嫡出子/非嫡出子という区別がありますが、嫡出という言葉には「正統」という含意があるため、現在では嫡出子/非嫡出子ではなく、婚内子/婚外子がよりニュートラルな用語として採用される傾向があります。

婚外子の国際比較

 あらためて0-1の「婚外子の割合」を見てください。これは、全出生数のうち「結婚していない親から生まれる子ども」の占める割合のことです。

ADVERTISEMENT

 1990年代以降、欧米の多くの国で家族をめぐって生じた大きな変化のひとつが、婚外同棲カップルの増加でした。

 結婚を前提とした同棲だけではなく、結婚の代替としての同棲が一般化しており、欧米諸国では婚姻制度以外の共同生活を保障するさまざまな制度が確立されてきたのです。同時に、出産・子育てが婚姻制度からどんどん分離していきました。

 OECD Family Database によれば、2018年時点の婚外出生割合は、日本が2%程度であるのに対し、EU平均、OECD平均ともに40%を超える数値となっています。1990年代後半から、欧米の多くの国で同棲が「結婚の代替」として受容され、法律婚カップルと同等の生活保障を与えられることになったのです。

 われわれの常識では、子どもは結婚した夫婦から生まれるものです。しかし、国際比較の視点で見てみると、結婚した夫婦から生まれる子どもがむしろ少数派になっている国さえあるのです。

写真はイメージ ©︎maroke/イメージマート

 付け加えていえば、先進国を比較すると、このような国のほうが相対的に出生率が高い傾向もみられます。

 もちろん、「婚外子を増やせば出生率が上がる」などと言っているのではありません。

 私もさまざまな場で婚外子の話をする機会も多いのですが、たびたび「愛人の子どもを増やすのはちょっと……」という否定的な反応が返ってきます。

 現代社会において婚外子を「愛人の子ども」と同一視するというのは海外でも日本でも事実誤認なのですが、それだけ日本にはネガティブなイメージが強いことに驚かされます。

関連記事