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「ブログを書く」すすめ

 人に説明可能な状態にもっていく訓練として最良の手段の一つは、ブログを書いてみることだ。

 私のプログラミング師匠かずきさんにプログラミングの上達のコツを聞いたときに言っていたことが、「新しい技術を学んだら、ブログを書く。サンプルコードはそのまま使うのではなく、自分なりに変えたものをつくる」。つまり、人に説明可能なレベルで記述することが理解を深め、記憶を定着させるのに非常に有効な手段なのだ。私がよくnote やブログに雑記を書いているのも、自分の気づきを脳内整理して記憶するためにやっている側面が強い。

 人間が記憶をするために有効な方法は、シンプルに「思い出そうと頑張る」ことだ。私はこの方面への苦手意識が強かったが、これを理解してから記憶力が大きく改善された。

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 例えば歌の歌詞を覚えようとする。今までは、何回も通しで繰り返し書いたり、何回も歌を聴いたりしても一向に覚えることができなかった。

 そこで、何回か歌を聞いたら、最初から少しずつ歌詞を思い出すようにしてみた。最初の小節を思い出す、それができたら次も記憶から呼び覚まそうとする。全部いっきにやらずに、少しずつ「思い出す」ようにする。すると以前は全然覚えられなかったのに、今は1日あれば歌詞が暗記できるようになったのだ。

最強の「コーネルメソッド」ノート術

 さらにこの理論を応用したノートの書き方がある。「コーネルメソッド」という比較的有名な方法だが、「ノート/キュー/サマリー」の形式で作業を記録し、その日の終わりに整理し、「作業内容を人にそらで説明できるかどうか」を記憶できたかのチェックポイントにしている。例えばコンピュータの新しい操作方法を覚えたとする。ただノートに書きとめるだけではなく、アウトプットを意識したコーネルメソッドの方法で書くのがおすすめだ(図参照)。

1 「ノート」のエリアには、ノートを取りながら学ぶのではなく、自分が学んだことを後から思い出しながら要点を書くのがポイント。例えばオンライン会議でウィンドウズの画面が映らなくて苦労して、いろいろ調べて解決したとき、そのプロセスを思い出して整理して書く。箇条書きでもいいし、簡単な図を入れてもいい。

2 「キュー」(きっかけ)には、自分が学んだことにつながる質問を書いておく。例えばウィンドウズで画面がうまく映らない場合に、できることは何か? など。

3 「サマリー」には、後日振り返ったときに、要約を書く。この場合なら、トラブルの原因と解決法の簡潔なまとめだ。