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元社員が実名で語る「ぼくがユニクロを辞めた理由」

潜入ジャーナリスト・横田増生×YouTuber・松本涼 対談#1

店長にならなきゃみたいなプレッシャー

横田 覚えることが多すぎますよね。でもユニクロで偉くなるにはそういうことも受け入れていかなきゃならない。松本さんがYouTubeでおっしゃってたのは、リクルーターの人には入社半年で店長になったという人がけっこういるという話でしたが、実際に入社されていかがでしたか。

松本 新入社員が300人くらいいて、半年で店長になったのは3人でした。おそらく、以前は出店が多かったので、店長が足りなかったんです。

横田 今はむしろ店舗を整理していますよね。数を減らして一店舗あたりの面積を広くしている。だから新しい店長はそんな必要ない。でも、新卒社員には店長にならなきゃみたいなプレッシャーはやはりあるわけですか。

松本 ありますね。「アルバイトじゃないんだぞ」ということは常日頃言われていて、店舗での自分の役割りは何かと常に考えて仕事をしろとは言われていました。

©松本輝一/文藝春秋

横田 松本さんはグローバル社員(G社員)、いわゆる正社員として入社したわけですよね。他に地域正社員もいる(R社員)。

松本 ええ。勤務地がある程度のエリアに決められていて、その外への異動はないというのがR社員です。

横田 グローバル社員は異動がけっこうあるんですか。

松本 そうですね。人によりますが、2年間異動がないというのはほぼないぐらいじゃないかと思います。早いときは半年くらいで異動します。 結局、僕は入社半年で辞めようと思って、8月の異動で新しく来た店長に最初の面談で「辞めます」と言いました。「気持ちがついていかない」と。ところがその新店長に「お前に絶対に仕事を楽しいと思わせてやる」と説得されたんです。結局、翌年1月まで働きましたが、やはりダメで、結局11ヶ月で退職しました。

辞めようと考えてる頃に「潜入一年」の記事が

横田 創造性の発揮できない職場ということが大きそうですね。ユニクロには下からの現場の改善提案などを吸い上げる仕組みもないですし。

松本 もう成熟期に入っていて、これ以上の何かが生まれる余地がないと感じました。僕がもう辞めようと考えてる頃に、横田さんの「潜入一年」の記事が「週刊文春」に出たんです。

横田 社内はどんな感じでしたか。

松本 また出たぞ、また叩かれたみたいな感じですね。

横田 ユニクロは、「週刊文春」の記事をPDFにして全店舗に送ったらしいですね。

松本 来ましたね。お客様に何か聞かれても、「ちょっと答えられません」みたいに答えてくださいという通達がありました。同僚と話したわけではないですけど、僕は記事を読んで、リアルだな、1年も潜入するってほんとうにすごいなと思いました。

横田 連載の1回目はその直前にあったビックロの2016年の創業感謝祭の様子を書いたんですよね。

松本 僕も兵庫で現場に出ていたので実にリアルな記事でした。

©松本輝一/文藝春秋

後編につづく
http://bunshun.jp/articles/-/7476

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まつもと りょう
1993年長野県生まれ。上智大学を卒業後、株式会社ユニクロに新卒入社するも11ヶ月で退社。現在は長野県長野市のセレクトショップHOWDAYで店長・バイヤーを務める傍ら、YouTuberとしても活動中。2018年5月現在、チャンネル登録者は1.3万人を突破。服とグミと酒をこよなく愛す。服バカの服バカによる服バカのためのファッション業界改革をミッションに、長野から世界へ向けて今日も吠えまくる。
Youtube チャンネル https://www.youtube.com/channel/UC-ZROlMVRmO-NNN53wSBUaQ

よこた ますお
1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。1993年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、1999年フリーランスに。

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