「職場では奴隷のような扱いを受けていた」
高野さんは2020年でいったん佐々木の会社を辞め、生活保護を受けていたが、2021年に復帰。昨年10月末で雇用保険を打ち切られると、個人事業主としてM社と関わっていた。
別の捜査関係者が語る。
「被害者の両親はすでに他界しており、結婚歴もなし。遠方に一人きょうだいがいるようだが、身近に相談相手もおらず、寄る辺ない境遇だった。板橋区にあるM社が借り上げたアパートに住んでいたが、職場では奴隷のような扱いを受け、給料もろくに支払われず、住まいと食事を管理されたうえ、暴力支配によってマインドコントロールされたような状態になっていた」(同前)
そして事件前日の23年12月2日夜。佐々木ら4人は、板橋区内にある高野さん宅を訪れた。4人による暴力に怯えていた高野さんは、言われるがまま近くのコンビニの駐車場に連れ出され、島畑の車の中に監禁された。
「その後、島畑と野崎の車2台は、荒川にかかる笹目橋に向かっている。23時50分頃、被害者は橋の上から飛び降りるよう迫られたが、車から降りようとしなかった。次に向かったのが、3キロほど先にある現場の踏切だった。道中、野崎が『川は無理でも線路ならいけるだろう』といった内容の発言をしている。佐々木と岩出はコンビニで別れて帰宅していたが、車内監禁から自殺を装った殺害行為までを認識していたとみている」(同前)
高野さんの死に関して、殺人容疑で逮捕された4人は、直接手をくだしたわけではない。だが、彼は逃げる気力すら奪われ、強制的に人生を終わらせられたのだ。警視庁が1年を費やした執念の捜査は、高野さんの無念を晴らすことができるか。
文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。
※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。