「優勝を目指して、まずは戦い抜いてもらいたい。そして勝ちきってもらいたい」

 2月2日、阪神の沖縄キャンプを訪ね、藤川球児新監督(44)らを前にそう訓示したのは、今年1月1日付で就任したばかりの(しん)雅夫オーナー(67)だ。

阪神新オーナー秦雅夫氏

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「岡田氏バックアップ」は不文律を破る劇薬だった

 昨季は“アレンパ”を逃した阪神。

「2023年に球団を18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一に導いた岡田彰布氏(67)の第2次政権は、わずか2年で終了。今季は球団創設90周年のメモリアルイヤーですが、指導者としての実力は未知数の藤川新監督の下で始動しました」(スポーツ紙記者)

 この監督人事には親会社の思惑が絡んでいる。

「そもそも岡田氏は、阪急阪神HDの元会長で“宝塚のドン”として知られる角和夫氏(75)が連れてきた監督だった。角氏は、阪神が長年優勝から遠ざかっていたことに業を煮やして、球団オーナーには自らの後継者として育てていた阪急電鉄出身の杉山健博氏(66)を据え、岡田氏を全面バックアップしたんです。しかしこれは、阪急HDと阪神電鉄の経営統合後の『阪急はタイガースの球団経営に口出ししない』という不文律を破る劇薬だった」(同前)

 

 岡田氏は期待に応えて1年で“アレ”を果たしたが、

「23年に宝塚歌劇団の不祥事で角氏の影響力に陰りが出たこともあり、阪神電鉄は藤川氏の新監督人事を推進した。折しも角氏が体調を崩して24年12月にHDの会長を退任。杉山氏がその後任に就く予定で球団オーナーの職を離れざるを得ず、玉突き的に空いた椅子に座ったのが阪神電鉄出身の秦氏だった」(同前)

 かくしてタイガースの球団運営は阪神電鉄の手元へ“大政奉還”されたわけだ。

厳しい態度にまわりは萎縮

 では新オーナーの社内での評判はというと、

「厳しい人ですよ。考え事を他人に邪魔されるのが大嫌いで、阪神電鉄役員時代には部長級が決裁のハンコを貰いにいっても『今忙しいんじゃ』と追い返されることもしばしば。集中モードの時は、閉め切った役員室が誰も寄せ付けないようなオーラを放ち『天の岩戸のよう』と言われていました。ある会議では、参加者からの質問を『何がおかしい』とピシャリとはねつけ、それ以降、秦氏が出る会議ではみんな萎縮して質問できなくなってしまったというのも語り草です」(阪神電鉄関係者)