「お父さんはすでに帰国して地元にいる。地震が起きてすぐに僕に電話してきた。国に早く帰りたい人をトルコ大使館とやり取りして、ここで真夜中、午前0時、1時まで、(航空)チケットを手配して準備していた。最初地震が起きたときは帰る人が多かった」
入管法の改正には反対しない
「政治家に会ったり、ボランティア活動も10年以上やっているし、(日本社会からも)評価されているんじゃないか。感謝状とかもらっているし(事務所の壁には新型コロナ対策に協力したとして、奥ノ木信夫・川口市長からの感謝状が飾られていた)。知事も、最初会ったときクルド語で話してびっくりしたよ(大野元裕・埼玉県知事と一緒に撮った写真も飾られていた)」
Bさんは私に、資料が挟まった分厚いファイルを手渡した。在留特別許可を求め法相あてに出した資料だ。日本人の知人から寄せられた嘆願書50枚、地震の際のボランティア活動の写真、家族の写真、妻子の住民票、子供の出生証明書などが束ねられている。
そこまでして、なぜ、日本にいたいのか。
「トルコの学校は学校じゃない。日本の学校には、プール、パソコンあるし。僕は川口市の小学校に通学し、当時外国人は一人だったが特別の先生がいた。それと軍隊に行っていないからトルコに帰ったら軍に呼ばれる。日本まで徴兵を知らせる手紙が来る」
インタビュー当時、難民申請の回数を制限する入管法改正が議論されていたが、「改正入管法は、成立してもいいと思っている。長く日本にいるとわかってくるのだが、3回くらい難民申請すると10年くらいいられるわけ。日本みたいに平和な国に住んで10年で成功できていない人間であれば、逆にどうかな、と思う。10年いればある程度の立場に立つ。自分を保証してくれる人が絶対いるわけ」
一方、すでに一定期間在留している人間には配慮が必要だと言う。