さえない独身の40代女性に激変

 清純派という印象が強かった池脇さんが、最初に世間を“激変”で騒がせたのは9年ぶりの連ドラ主演となった2021年の『その女、ジルバ』(フジテレビ系)。

『その女、ジルバ』でリアル40代を演じた池脇千鶴。「すごいことになっている」と話題に(『その女、ジルバ』公式サイトより)

 浮気者の婚約者に捨てられ、望まぬ職場の異動もあり、絶望感を抱いたまま40歳の誕生日を迎えた独身の主人公が、熟女バーのホステスとして働き出すことで新たな人生観を得て、周囲の仲間たちと絆を深めていくというストーリー。

 池脇さんはこの作品のために体重を増やしたのではないかと思われ、あえて老けて見える役作りを徹底。演技では自信がなさそうに背中を丸めていたため、そのさえない様子があまりにリアルだとSNSをザワつかせたのでした。

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“本人だと気がつかないレベル”へ変貌

 しかし、です。

 たしかにかつてのイメージと比べれば、『その女、ジルバ』の姿は視聴者から驚きをもって迎えられたのですが、いま思えば、池脇さんはさらなる変化を遂げることになります。なぜなら、2月に放送された『秘密~THE TOP SECRET~』にゲスト出演した際は、恥ずかしながら筆者は最後まで「池脇千鶴」だと気がつかなかったほどの、変貌ぶりだったからです。

『秘密~THE TOP SECRET~』で池脇さんが演じたのは、年老いた父親の介護とコンビニ勤務で人生に疲弊する中年女性で、コンビニの同僚を刺殺してしまうという犯人役。精神的に追い詰められていた彼女は、現実逃避して自分がモデルのように美しい姿になっている幻覚を見ていたというキャラクターでした。

 現実と幻覚の姿がビフォー・アフターのような対比になっていたのですが、池脇さんが演じていたのはビフォーのほう。ふくよかな体型にほうれい線が深く刻まれた顔に丸メガネ、老け込んで見える薄メイク。ピンクのガーリーな服を着る姿も披露し、中年女性を生々しく演じ切っていたのです。

『秘密~THE TOP SECRET~』での池脇千鶴(番組公式サイトより)

秋の朝ドラ『ばけばけ』での母親役は…

「奇跡のアラフォー」「美魔女」などと呼ばれ、実年齢よりもずっと若く見えることが讃えられる女性タレントは少なくありませんが、池脇さんの進むベクトルはその逆。とことんリアリティを追求した役作りには、敬意を覚えます。

 今秋スタートの朝ドラ『ばけばけ』で池脇さんが演じるのは、神や霊について詳しく、ヒロインにそんな話を聞かせてあげるという風変わりな母親になる模様。“激変の池脇千鶴”がどんな役を憑依させるのか、今から楽しみです。