あと、今のままなら辞めたほうが良いと思う理由は嫌われ首相としての自覚が無さすぎるからだ。ほんの1年半前まで石破氏は総裁候補として終わった人だとみられていた。ところが自民党で裏金問題が発覚し、党内の端にいた石破氏に再び目が向けられた。

自民党がずれていることが可視化

 裏金議員などからは恨まれるに違いない。そんな立場を十分わかっていれば慣例とは言っても商品券10万円なんて配らないはず。すぐにリークされるだろうからだ。

 でも呆れてしまう記事を読んだ。日本経済新聞によると「いまの1年生は何を考えているのかわからない」。石破首相は商品券配布が表沙汰になったとの情報が入った13日夜、衆院当選5回の議員との会合でつぶやいたという。本当に「わからない」のだろうか? 自分は狙われているという危機管理が無さすぎないか。この甘さは他の政策や議論に影響しないだろうか。

ADVERTISEMENT

少数与党での政権運営 ©時事通信社

 ちなみに自民党幹部は「何かもらったら普通は黙っている。派閥がなくなり、新人議員に基本的な振る舞いも教える場がない」と話したという。記事のタイトルは『商品券配布、「永田町の常識」世間とずれ』(3月22日)。皮肉にも自民党がずれていることが可視化されてしまった。

 それにしても石破首相こそ何を考えているのかわからない。長く取材しているジャーナリストに聞くと「石破さんは自分が意図してないのに『結果的にこうなっている』ということが多い」という。衆院選での裏金議員処分も安倍派潰しだという声もあったけどそんな芸当はできないと。国会での「熟議」も少数与党なので結果的にそうなってるだけだと。

 これを聞いて、まるで里に迷い降りてきたクマが意図してないのに村を騒がせているように思えた。考えてみれば今回の商品券問題も自分だけでなく自民党全体の実態を暴くことになった。大騒ぎである。もし石破氏が首相を続けるのなら、結果的にすべてを晒してしまう“全裸芸”をとことん追求すべきではないか。もうそれしかない。 

◆◆◆

 文春オンラインで好評連載のプチ鹿島さんの政治コラムが一冊の本になりました。タイトルは『お笑い公文書2025 裏ガネ地獄変 プチ鹿島政治コラム集2』