――しかし、今は選手の経験や質が上がっています。ベテラン枠でW杯メンバーに入った川口能活や中山雅史のような存在は、今回のW杯でも必要だと思いますか。
城 長友については、選手ではなくスタッフとして同行すればいいとか、1枠がもったいないという声もあるけど、個人的には必要だと思います。彼はビッグクラブでプレーしてきているし、いろんな選手と関わってきているので、どんな選手とも話ができる。
W杯での経験も豊富。ムードを作るのもうまい。そういう選手は貴重ですよ。W杯が近づくと試合に出たいから選手もピリピリしてくるし、言い争うことも出てくる。でも、長友と長谷部がいて、彼らが話を聞いてくれたら文句や不満は出てこないでしょう。
「今の段階ではどうかなと思いますが…」日本代表が「W杯優勝」を目標にするのはまだ早いのか?
――バーレーン戦後、遠藤航キャプテンが「W杯優勝」という目標を公言しました。ベスト8入りを果たしていないのに優勝はまだ早いだろうという声もあります。
城 遠藤は、自分たちが思うレベルのステージにチームを上げていけるという自信があるんじゃないかな。98年フランスW杯は出ることが目標でしたが、2002年日韓W杯でベスト16を達成し、今はロシアW杯、カタールW杯と2大会つづけてベスト16に進出しています。
カタールからもレベルを上げているのは、この最終予選の戦いからも見て取れます。さすがに今の段階では優勝はどうかなと思いますが、選手がいけると感じ、一番てっぺんを目指すのは素晴らしいことだと思います。
――W杯優勝は、2014年のブラジルW杯で本田圭佑が宣言しましたが、あの時と今回とでは意味が違いますか。
城 違いますね。あの時の本田の優勝宣言はパフォーマンス的な部分が大きく、チームを盛り上げることを意識しての発言でした。ただ、そういう発言をすることで「本当に優勝できるのか」と、選手にもサポーターにも厳しさが生まれたので、それはすごく良かったと思うんです。
本田たちは「自分たちのサッカー」にとらわれて自滅したけど、今のチームはいろんなシーンに対応できる力があり、自分たちの強みも出せます。ベスト8の壁を破って優勝までいける姿が想像できるからこその遠藤の発言だと思います。