自民党の総裁選で3選を決めた安倍晋三首相は、27日までの日程で訪米し、国連総会で演説するほか、トランプ米大統領ほか各国首脳との会談を行った。「外交の安倍」を印象づける形となったが、はたしてどのような結果となったのだろうか。印象的な言葉を集めてみた。
ドナルド・トランプ 米大統領
「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」
朝日新聞デジタル 9月27日
26日(日本時間27日)に行われた安倍晋三首相との会談を終えたトランプ大統領は、国連総会を締めくくる記者会見で「日本は長年、貿易の議論をしたがらなかったが、今はやる気になった」と語り、日本と2国間関税交渉の開始で合意したことを成果として強調した。
その流れで飛び出したのがこの発言だ。トランプ氏はこれまで690億ドル(約7兆7000億円)に上る対日貿易赤字に不満を示し、赤字解消に向けて2国間の貿易協定を求めていた。11月の中間選挙を控えて「貿易赤字の削減」を訴えたいトランプ氏は、通商問題と安全保障問題を絡めて日本に突きつけている。
日米間の通商問題は今回の安倍首相の訪米において極めて重要なテーマだったが、事前にトランプ氏は米国に有利な合意がなければ「日本は大変な問題になる」と揺さぶりをかけていた。産経ニュースは「同盟国を脅す手法は、米国と世界の利益を損なうことを納得させなければならない」と強調していたが(9月24日)、日本政府はトランプ氏に脅されていたのか……。
米国製防衛装備品の大量購入は明らかにされていなかった
安倍晋三 首相
「厳しい安全保障環境に対応するため、今後とも米国製を含め高性能の装備品を導入する。わが国の防衛力強化に重要だ」
産経ニュース 9月28日
菅義偉官房長官は28日の記者会見で、安倍首相がトランプ大統領に米国製の防衛装備品を購入する意向を改めて伝えたと説明した。菅氏によると、安倍首相はトランプ氏にこのように伝達したのだという。
日米首脳会談に関する日本側の説明には防衛装備品をめぐる両首脳のやりとりは含まれていなかった。両政府がまとめた共同声明にも入っていない。日本が米国製の高性能な防衛装備品を大量購入することになったのは、トランプ氏の発言によって明らかになった(日本経済新聞 9月28日)。
防衛省は8月31日、2019年度予算の概算要求を公表し、総額は過去最大を更新する5兆2986億円となったことが明らかになっている。18年度当初予算に比べると2.1%増であり、認められれば第二次安倍政権発足以来、7年連続増となる(西日本新聞Web版 9月1日)。
米朝首脳会談で朝鮮半島の緊張状態は緩和されつつあるが、北朝鮮のミサイル対応を目的とした地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入をはじめ、今後も日本は米国側の言い値で高額な防衛装備品を買い続けることになりそうだ。