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元アイドリング!!!遠藤舞の告白「25歳がアイドルの限界だった」

遠藤舞さんインタビュー#1――アイドル戦国時代を振り返る

2018/11/25
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「素人すぎるから」受かったアイドリング!!!

――事務所に入ってすぐアイドリング!!!のオーディションに受かったことで「やめられなくなったな」と思いました?

遠藤 思いました。思いました。当時のマネージャーさんから電話があって「受かったよ」と聞いた時にもう後に引けないんだって。ただ、話のネタになることを探すのは好きだったので、いい人生経験になるかなとは思いました。

――芸能界での経験もあるメンバーもいるなかで、自分のキャラは薄いと思うことはありましたか?

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遠藤 そうですね。番組開始当初のディレクターだった塩谷亮さんから「なんで受かったと思う?」と聞かれたことがあって。私は答えられなかったんですけど、正解は「素人すぎるから」だったんです。オーディションの時に「なんでここにいるのか分からないです」と言ったんですけど、そんな人いないじゃないですか。塩谷さんも変わっている方なので、「なんでここにいるのか分からないヤツがアイドルに混じっているポジションが面白い」と映ったらしいんです。ただ、そう言われた時に「このままじゃいられない」と悟って。「素人」だけが持ち味と言われても、それは擦れていくものじゃないですか。番組の10回目くらいでなくなっているかもしれない。早い段階で「素人」に替わるアイデンティティを見つけなきゃいけないという不安感はありました。

 

笑いが取れたときが一番褒められる

――アイドリング!!!自体が王道のアイドルグループではなかったですよね。バラエティ番組中心のアイドルでした。

遠藤 番組を作っている方がどうやら「面白」主体で物事を考えているなと気がついたんです。面白いことを言って笑いが取れた時が一番褒められるから、みんなの中に「面白いことをすればいいんだ」と刷り込まれていくんですよね。とくに初期のライブや握手会がなかった時期は、収録現場にいる人たちに認めてもらおうとするわけで。アイドルになるために頑張るんじゃなくて、面白いことを言うために頑張るという、肩書きはアイドルだけど、独自の路線を走っていたのかもしれません。

――バカリズム升野さんは、アイドリング!!!をアイドル扱いしない司会ぶりでしたよね。

遠藤 アイドルになれない自分にとって、アイドル扱いしないMCがいることですごく助かりました。自分の居場所があるような感じがしたんです。アイドルっぽいことをさせられていたらすぐにやめていたと思います。

 

――長く続いた番組なので、演出家やプロデューサーが変わっていきましたが、そこには対応できましたか?

遠藤 演出の方が違うとこんなに変わるんだ、というのはひとつの学びでした。プレイヤーとの相性もあるし、人間だから好き嫌いもあるでしょうけど、仕事なので関係なくやっていかなきゃいけないのがプロなんだって。升野さんを見てそう感じました。ひとつ思ったのは、企画の意図が分かりやすいとプレイヤーとしてはやりやすいということ。意図された「面白」までの道筋が理解できるといいんですけど、そうじゃない時は苦戦しました。ただ、感心するくらい多くの企画があったので、その中に迷走気味の企画があったとしてもしょうがないことだと思います。