国際刑事裁判所存続のために日本が果たすべき役割

相次ぐ指名手配・制裁…

赤根 智子 国際刑事裁判所(ICC)所長
ニュース 国際

いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

赤根智子氏 ©文藝春秋

 私が所長を務めている国際刑事裁判所(ICC)は、いま重大な危機に見舞われています。

 2023年、私を含む裁判官6名と、捜査を担当する検察局のトップである検察官の計7名が、ロシアから指名手配されました(その後、さらに2名が指名手配された)。ICCが同国のウラジーミル・プーチン大統領らに対し、ウクライナにおける戦争犯罪の容疑で逮捕状を出したことへの報復とみられます。

 2025年2月には、アメリカのドナルド・トランプ大統領が、ICCに対する制裁(特に職員や関係者への制裁)を可能とする大統領令に署名しました。これはICCにとって、より深刻な問題です。もし強い制裁が発動されれば、裁判所として活動を継続することが事実上、不可能になってしまう。まさに存亡の危機と呼ぶべき事態なのです。

 同年6月に私は『戦争犯罪と闘う』(文春新書)という本を出版し、ICCの存在意義と、直面している危機的状況を訴えました。遺憾なことに、その後、状況はより悪化しています。制裁の対象者は段階的に増え、同年8月までに、裁判官6名、検察官、副検察官(検察局のナンバー2)2名の計9名が指名されてしまいました。読者の皆さんがこの記事を目にするころには、さらに状況が悪化している可能性が高い。

『戦争犯罪と闘う』(文春新書)

 対象となった裁判官のうち3名は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らに対し、パレスチナのガザ地区における戦争犯罪と人道に対する犯罪の容疑で逮捕状を発付する決定を下したメンバーです。イスラエルを支持するアメリカは、ICCの決定に強く反発しているのです。

 残る3名の裁判官は、検察局がアフガニスタンで捜査を行うことを許可する決定を下したメンバーです。自国の兵士などが捜査対象になることを懸念するアメリカは、以前からICCの決定に不満を持っているとされてきました。

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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

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