岩村昇 “ネパールの赤ひげ”の原点

石川 信克 結核予防会結核研究所 名誉所長

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ネパールで現地民の感染症医療に尽力し「ネパールの赤ひげ」として知られた岩村昇医師(1927~2005)。国際保健のパイオニアとされる岩村氏に導かれ、結核医療の道に進んだ結核研究所名誉所長の石川信克氏が在りし日を振り返る。

ネパール結核医療に貢献 マグサイサイ賞に岩村昇氏 Ⓒ共同通信社

「ドクター・イワムラは神様のような人だ」

 2003年、私がカトマンズでの講演を終えたあと、現地の保健部長が興奮して話しかけてきました。ネパールで活動していた時代から20年以上経っても、岩村先生の記憶は現地に息づいていました。

 岩村先生は1962年、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)の派遣ワーカーとして妻の史子さんとネパールに向かい、タンセン病院の公衆衛生医として働き始めました。もともと医師を志したのは、18歳の時、広島での被爆がきっかけだったそうです。爆心地から南に約2キロ離れた高校で被爆しながら、たまたま倉庫にいたことで九死に一生を得た。後年までひどい原爆症に苦しんでいても、本人は被爆体験をほとんど口にしませんでした。

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source : 文藝春秋 2026年11月号

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